きおく

なにか考え事をしていたはずだった。
それなのに昼飯の味噌汁をすすった瞬間に全部忘れてしまった。

人間は忘れることができる。それにしてももう少し覚えていられないものだろうか。
小学校のときなんて、仲のいい友達の家の電話番号なんてほとんど暗記していたのに。
携帯電話が出来て、番号を覚える必要もなくなって、今では漢字も自動変換されて、その分他のなにかを覚えていられるスペースが出来ているはずなのだ。

夕飯まだか?
おじいちゃんさっき食べましたよ。

という話はよくあるけれど、今のおじいちゃんたちは、どこどこの誰々の住所やら、電話番号やらはきっと覚えていたはずで、僕たちはこのまま歳をとって、本当におじいちゃんになったとき、どうなってしまうのか。

夕飯まだかなぁ。

Shingo Kurono

□ ANOTHER STORY

SHINGO KURONO

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