SHINGO KURONO

1985年生まれ。2006年フランスへ渡りデザインを学ぶ。帰国後国内のデザイン事務所で経験を積み、2015年独立、デザインプロジェクト humar.(ユーモア) に参加。プロダクト、グラフィック、WEBデザインなどジャンルレスにデザイン活動をしている。作る側とそれを使う側の新しいコミュニケーションを模索するTHE HOTEL LINKSや、お茶ブランドTheThéを運営。 http://www.shingokurono.com http://humar.co http://www.thehotellinks.co http://the2.co

文字フェチ

手書きの文字が好きだ。
今仕事させていただいている案件で、たくさんの人の手書き文字を集めては加工しグラフィックに落とし込むという作業をしているのだけど、当たり前のような話だけど人それぞれやっぱり字が違う。

いわゆる綺麗な字を書く人も、そうでない人もいる。
でも、綺麗だとか綺麗でないとかそういうことなんてどうでもいいほど、みんなのそれぞれの人柄が、使っているペンの太さや、文字そのものからにじみ出ている。そこに下手な技術なんて必要ない。

もちろんお会いしたことがない方もいるし、会ったことがある方もいる。
あ、あの人こんな字書くのね、とか、この字を書いた人と話してみたい、とか思いながらニヤニヤしながら作業をしている。もはや完全に自分の趣味のようになっている感じがする。ニヤニヤしながら一人でマックに向かって作業している姿はおそらく誰がどう見ても気持ちが悪い。

母親の字を真似て書いてみたこともあるし、友達の字がいつの日か好きだったあの子の字に似ていてハッとしたり、パリから日本に戻るときにもらった手紙にあったお世辞にも上手いと言えない字が印象に残っていたり、「領収書ください。」と言った時に「品代として」と書いてくれるレジの人の字が気になったりしている。うむ、こう書くとちょっと気持ち悪い人みたいだ。

まぁ、多少気持ち悪い一面があってもいいか。
いわゆるなんとかフェチとよく言うけれど、文字フェチであることをここに宣言します。

Shingo Kurono