MASAKO TAKANO

写真作家/美容師 美容専門学校卒業後、国内の美容室に勤めた後、2006年美容師として渡仏。帰国後も数多く海外を周り、旅の中で撮りためた写真を集めたビジュアルブック「More Than Words」を2015年出版。国内のセレクトショップをはじめ、NYの老舗ブックストア SPOONBILL & SUGARTOWN, BOOKSELLERSでも取り扱いされている。日々のふとした瞬間、ちいさなあたたかいことを綴っていきます。

ギアをニュートラルに.

「キクスイさんのサイトでブログ書いてくんない?」

Humar.のクロノくんとヨシザキくんに声をかけられたのは
ちょうど1年前くらいだっただろうか。

お酒は強くないけれど彼らには仕事でも大変お世話をしてもらっているしと受けた。

文章を書くのは嫌いではない。
というより、まだマシという表現が合っているかもしれない。
私は自分の気持ちを口で発するのが苦手だ。
too shy shy girlなんて時代遅れな表現も笑えないくらい、
俗にいう不器用な人間である。
文字に起こして伝えたほうがまだ相手に迷惑をかけにくいという
理由から文章を選んできた。
そんなのはどうでもいいんだけど。

ブログ。最初の頃は何も書けず無理やり書いてみていた。

彼らに何度言ったか。

「難しい、わからない、書けない」

遠い昔、毎日文章を書く仕事もしていたことがあった。
当時は全てが新しい世界にいたこともあって、文字にしたい気持ちが溢れていた。
自分の文章を読み返すと読書をしてこなかったのに

よくもまあこんなものを書けたもんだとあの頃の自分が少し羨ましくなっていた。

そんな昔の自分と比べる私にクロノくんは悟ったように一言だけ口にした。

「なんでもいいんだって」

「。。。」

日々起こることを文字にする。それはとても難しいことだと思っていた。

いつか歩く速度を緩めたいなと思ったときがあって
いつもの景色をボーッと眺めるようになった。
ニュートラルに。

こういうことだったんだと思った。

通勤の電車から富士山が見えた時に感じる童心にかえる気持ち。
真っ青な空に流れる雲を見た時の気持ち。
寒いねーって笑いながら誰かと歩ける時の気持ち。

いつも4速で走っていたら立っている看板にも気づかない。

もちろん1速で坂道上がるのも5速で走り抜けるスピードだって重要だ。

でもニュートラルで流れているからこそ気づけること。

「毎日そんなに特別なことないって。」
。。。と思っていた時に返そうと思った言葉。

それが思い込みだったことを知った。

日々の中でギアをニュートラルにすると感じられる
自分の気持ちがあること。
BREWが教えてくれたこと。

くさいっていうひともいると思うけど、

私はそれを感じることができてすごくうれしいなぁって思ってる。

ランダムに流している音楽に好きだった歌が流れた。
そうだ、こういう瞬間も地味にうれしいもんなんだった。

なんでもいい。
そんな気持ちを不器用な文章にしてみた、

BREW色の空の昼下がり。
またちょっぴりほんわかした。

良い週末を。

Masako.