SHINGO KURONO

1985年生まれ。2006年フランスへ渡りデザインを学ぶ。帰国後国内のデザイン事務所で経験を積み、2015年独立、デザインプロジェクト humar.(ユーモア) に参加。プロダクト、グラフィック、WEBデザインなどジャンルレスにデザイン活動をしている。作る側とそれを使う側の新しいコミュニケーションを模索するTHE HOTEL LINKSや、お茶ブランドTheThéを運営。 http://www.shingokurono.com http://humar.co http://www.thehotellinks.co http://the2.co

「ボトルカッターァ!」

I haven’t failed, I’ve found 10000 ways that don’t work.
とかの有名なエジソンは言っていたし、失敗は成功のモトといわれる。
そう、失敗しないとコツなんて掴めない。

ワイングラスをカットした雑貨をよく街で見かけるのでムカンテイのボトルも同じようにカットできないかということで、
ドラえもんの四次元ポケットに未だにお目にかかれない僕は、アマゾンのプライムというもので、

「ボトルカッターァ!」

なるものを買った。

「アマんぞん、これはどうやって使うものなの?」

「しんたくん、これはね、まずボトルにぐるっと一周傷をつけて、そのあと、ろうそくで傷をつけた部分をくるくるとゆっくりと熱して、氷でその部分を冷やす、という作業を繰り返し、いとも簡単にボトルをカットするものだよ。」

ということでやってみた。

しんたは変なところでせっかちな一面を持っていて、
スプレー塗装をした時は、「もう乾いたかな?」と言っては塗装面を触ってしまい、指紋をつけてしまうことがよくあるので、ゆっくりと慎重に作業しないといけないな、と思う。

ゆっくりと慎重に。

特に一番気をつけて、焦らずに作業しないといけないのは、取り扱い説明書に赤字で大きく書いてある、

「ろうそくで熱する時に、急に火に近づけると傷をつけた部分以外の方向に亀裂が入ってしまいます」

という部分だ。

「ろうそくの火からの距離を2cm以上ちがづけない方がいい」

とも書いてある。

そんなことは言われなくてもだいたいわかっている。

そして、一周ぐるっと傷をつけ、ろうそくで傷をつけた部分をくるくるとゆっくりと熱して、ファミリーマートで買ってきたブロックアイスでその部分を冷やす。

それを2回繰り返し、

もう一回ろうそくの火にかけようとした時に、しんたは言う。

「アマんぞん、全然最も簡単にカットできないじゃないか。」

「他にもやるべきことが僕にはあるんだよ、最も簡単にカットできるって言っていたじゃ….」
と言いかけたまさにその瞬間、

「パキンっ」と言う小気味いい音が部屋に響きわたる。

再チャレンジした2本はうまくいきました。

Shingo Kurono