SHINGO KURONO

1985年生まれ。2006年フランスへ渡りデザインを学ぶ。帰国後国内のデザイン事務所で経験を積み、2015年独立、デザインプロジェクト humar.(ユーモア) に参加。プロダクト、グラフィック、WEBデザインなどジャンルレスにデザイン活動をしている。作る側とそれを使う側の新しいコミュニケーションを模索するTHE HOTEL LINKSや、お茶ブランドTheThéを運営。 http://www.shingokurono.com http://humar.co http://www.thehotellinks.co http://the2.co

熱いシャワーを

春というのはどうも眠いもののようだ。
僕にとっては32回めの春になるはずなのだが、毎年のように春って、なんか眠いよねぇと言っている気がする。

朝、熱いシャワーを浴びると眠気が和らぐそうなのでシャワーを浴びる。

歯を磨き、体を洗い、頭を洗った後に顔を洗う。どうでもいいが、この順番はかなり無駄が多い順番だと思う。

頭、顔、体の順に洗えば一度で全部流せるわけだから、時間もかからないし、水の量も少なくて済む。

銭湯に行っても、おそらく9割はその順番で洗っている。

と思う。(そんなこと気にして見たこともないし見ていたとしたらあぶない。そして親父がどの順番で洗うかということだって知らないし、実家に帰った時に銭湯に行く友達についてだって知らない。知っているのはあいつはすぐに出たがるとかそういったことだけだ。)

僕は無駄に水を使ってしまっているのかもしれない、そんなことを思ったのは18くらいの時だった。

そして洗う順番を無駄のない順序に変えようとこころみたがうまくいかなかった。

その後も何度か順番の修正を試したけれど、なにかしっくりこなくてやめた。
長年こびりついた癖というのはそうそう簡単には直らないみたいだった。

だから僕は、人よりも何分間かシャワーにかける時間が長いまま生きていくしかない。
例えもっと無駄を省く方法を知っていたとしても。

というどうでもいいようなことを、バスの窓側の席に座りながら書いていた。

すると後ろの席の小学生が、

「ティロリー、鼻から牛乳ー。」

と言った。

Shingo Kurono