MASAKO TAKANO

写真作家/美容師 美容専門学校卒業後、国内の美容室に勤めた後、2006年美容師として渡仏。帰国後も数多く海外を周り、旅の中で撮りためた写真を集めたビジュアルブック「More Than Words」を2015年出版。国内のセレクトショップをはじめ、NYの老舗ブックストア SPOONBILL & SUGARTOWN, BOOKSELLERSでも取り扱いされている。日々のふとした瞬間、ちいさなあたたかいことを綴っていきます。

イヤイヤワンダーラスト

みどりさんは
世界地図を広げて目を瞑り、
指で指した所へ行ってやると決心し、
フィンランドに辿り着いたと言っていた。
そんな潔さが欲しい。

旅に行きたいとき。たまに起こるイヤイヤ。
旅先を決めるまでのモヤモヤがイヤ。
時間が限られているのに行きたい場所が複数あるのがイヤ。
じゃあ行かなきゃいいじゃんとなるが、行きたい。
それがイヤ。
私は今可愛らしさが1ミクロも無いイヤイヤ期である。

よしここだ!と決めても色々調べていると
急に興味が失せる。
ただの知った気のくせに。
地球はそんなに広くないじゃんと本を放ち、
偶然何かを目にしては、世界!なんてまた
自分よがりなワンダーラストを纏い、本を大事に抱え。
ミーハーで浅はかなループが繰り返される。
そんな奴なのだ私は。

去年どうしても行きたいと思えた街を見つけ今年の旅先は決めていた。
お国事情を脳にインプットし現地の言葉を覚え、
いつも実施する郷に入ればなんとやらの準備は整ったけれど
この場所はさすがに共感があった方が楽しそうじゃんと思った。
つまりは言葉が通じる人とモヒートで乾杯したいという理由から
色んな人に声をかけてみる。
ふたつ返事の方はまあいない。あの人はまだ戻らないし。。。
そのうちにあのループもやってきてとりあえず熱は下がる。
冷めないのはイヤイヤワンダーラストだけ。

決めるの、わくわくするじゃん と誰かはいう。
私はその対極の隅の隅にいるらしい。

「世界と近くをよくよく見なさい、
考えないの、あなたは頭はダメ!
直感で決めなさい そしてGOよ!わかった?」

私にワンダーラストを植え付けてくれたマダムは
サロン中に響く明るくてデッカイ声で
毎日何度も何度も私にそう言った。

日々、何かとその染みついている言葉を思い出す。
思い出すくせに行動できないこともイヤ。
その人に会いに行くのも今じゃない。

いい場所ご存知の方、
どうしようもない私にプレゼンお待ちしております。
知るか、自分で決めろと自分に言った。
こんなめんどくさいのは誰だ。
なにがイヤイヤ期だ。

そのうちにあの場所からのプレゼンが入った。何度だろう、でも今回はなんだか違う感じがしないでもないような。
たまには流れに身を任せてみるのも悪く無いのかもしれない
とぐるぐる考える。
そろそろ決まるかな。知るか。

嗚呼、有難き悩み。
平和なもんである。
ふぅ。

コピルアック。

Masako.