• HOMARE YOSHIZAKI

    1984年生まれ。ベンチャーの立ち上げなどを経て、2015年デザインプロジェクト humar.(ユーモア)に参加。ヤリタイベースで色々な物を作ったり事を起こしたりしてます。

下駄箱の奥にしまってある大切なもの

BREWには醸造という意味がある。醸造とは発酵作用を利用するものであるが、この発酵という言葉の響きはなんだか時間の経過をポジティブに感じさせてくれる。

振り返ってみれば時間の経過を経て良かったと感じることは色々とある。
 
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もう何年前だろう。

「誕生日だからいいか」と自分に言い訳をしながら、原宿の小洒落たお店で買ったブーツ。ブランド名の書いてあるショッパーを持ちながら帰る道はワクワクと言うよりもちょっとした罪悪感を感じていたことを覚えている。

そんな思い入れのある靴も20代の忙しい生活の中で走り回り、雑に履き潰してしまった。
かかとも擦り減らして履き物にならなかった。ただどうも捨てられず下駄箱の奥にいつも入っていた。

blog1寒くなってきてから靴を買おうか迷っていた僕に、妻が「このボロボロのブーツ直しに行く?」と聞いてきた。直す金額で靴を買ってしまえるぐらいな痛み方だった。下駄箱に入れているのに直すという発想がなかった。ただ下駄箱を開けるたびに、なんだか申し訳ない気持ちになっていた。
僕は新品のブーツは諦めて、修理のお願いをした。

この冬は2日に1回ぐらいはそのブーツを履いていた。
20代で背伸びして買った靴。30代で直してまた履いて歩く日々。

かかとをすり減らしていたあの頃。
今思えばみっともないけど、あの時の自分がいるから今があるんだなと、履くたびにその時の自分と重なる。

過去に駄目にしてしまったモノやコト、時を経て向き合うとそれ以上の価値になる。
下駄箱の奥にしまってある大切なものをたまにのぞいてみよう。