SHINGO KURONO

1985年生まれ。2006年フランスへ渡りデザインを学ぶ。帰国後国内のデザイン事務所で経験を積み、2015年独立、デザインプロジェクト humar.(ユーモア) に参加。プロダクト、グラフィック、WEBデザインなどジャンルレスにデザイン活動をしている。作る側とそれを使う側の新しいコミュニケーションを模索するTHE HOTEL LINKSや、お茶ブランドTheThéを運営。 http://www.shingokurono.com http://humar.co http://www.thehotellinks.co http://the2.co

9月4日

パラパラと雨が降り、腹を出して寝ていたら風邪を引きそうなくらい涼しい朝だった。

本望ではないのだ。
9月の頭にこんなことはしたくないと思いながらも、薄手のコートを引っ張り出し、足首を冷やしてはならないと思い、長い靴下を引っ張りあげた。

首、手首、足首は冷やしてはいけない。

神泉で打ち合わせを終え、原宿へと向かう。
どこでどうやって電車に乗ろうかと考えながらとりあえず渋谷に向かい、そのまま考えごとをしながら歩き続け、ラフォーレの前に着いてしまった。

「人間の目はよく出来ているから、瞬時に焦点距離を変えることができるのだ。」とカメラマンの友人が日本酒を美味そうに飲みながら語るのを思い出す。

あぁ、なんかそういうことなのかと思う。
時計の図面は10倍で描き、内装図面は縮小されて描く。その目盛りをキュッと広げて、キュッと狭める、そんな筋肉をもっと鍛える必要があるな、と思う。

要するにイームズが作った「パワーオブテン」の世界だ。

他にも鍛えないといけない部位はたくさんあるという現実は見て見ぬふりをするに限る。