MASAKO TAKANO

写真作家/美容師 美容専門学校卒業後、国内の美容室に勤めた後、2006年美容師として渡仏。帰国後も数多く海外を周り、旅の中で撮りためた写真を集めたビジュアルブック「More Than Words」を2015年出版。国内のセレクトショップをはじめ、NYの老舗ブックストア SPOONBILL & SUGARTOWN, BOOKSELLERSでも取り扱いされている。日々のふとした瞬間、ちいさなあたたかいことを綴っていきます。

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寒い帰り道、今夜の夜空を見上げている人々を目にした。

あるひとはiphoneをブルームーンに向けて思考錯誤してる様子、
またあるひとは隣に並ぶひとと『すごいね赤いよ』と
寒そうにしながらニコニコ顎を空へ突き出している。

ひとが空を見上げる姿ってすごくいいなぁって、
早足の速度も自然とゆっくりになって色々頭に浮かんだ。

今空が綺麗だよとか、
星が今夜はとても綺麗に見えるよとか、
なんだかとても響いたときに
このひとなら伝わるかなぁって思うと、えいっとメールをしてみる。

言っちゃえば日々当たり前にある瞬間で
伝わったらうれしいなぁってそれだけなのだけど。
相手にしてみれば だからどした かもしれないけれど、
返事があったりわかってもらえるとやっぱりとても嬉しい。

やっぱりシェアしたいのがひとなんだと最近ふとよく思う。
綺麗だなって思ったもの、ただみてほしいもの、
うれしいこと、悲しかったこと、がんばっていること、くやしかったこと、思ったこと。

今私もあのひとに聞いてほしいなぁシェアしたいなって思うことがある。
なんでなんだろうなと考えてみると、
共有したい、一緒に笑いたいって思うのが人間そのもので
それが幸せってなことなのだという私なりのとにかくシンプルな答えにだけ
とりあえず行き着いた。

その人間の習性のおかげで
思わず見せたいものや瞬間があった時、伝えたい気持ちがあった時、
世界中のできるだけ沢山の人と、へ、
出来るだけ早く伝えたい、シェアしたいという空気が
最近は溢れているけれど、まわりまわって私は、

いま目の前の景色や瞬間や時間を
自分の心でめいいっぱい感じて味わって、
その時に隣にいるひと、閃いたひとと
シェアすること、できることがやっぱりいちばん好きだなぁって
そのひとひとりとシェアできるとき、そのひとに伝えられるときや気持ちを
まず何よりいちばん大事にしていたいなぁって最近すごく思う。

そんなことがふっとなぜか浮かんで
名も知らぬ彼らの夜空を見上げる姿が心に残った。
なんだかホッとした。

Masako.

Once in the blue moon.