Tsutomu Sato

スポーツイベントプロデュサー /「楽しい場所をつくりたい」と想い続け5千人を盛り上げるショーから1万人集まるイベントを企画運営しています / スポーツビジネスコミュニティ #SAC 運営中 / 山梨・東京で2社経営 / 企画やプランニングでご飯を食べてます / Twitter:@2tomman

日本の「スポーツビジネス」の現在地とこれからを考える

こんにちは。そして、初めまして。佐藤奨(さとうつとむ)と申します。

この度2月から、BREWで記事を担当させていただくことになりました。スポーツビジネスの軸で記事を発信予定です。今回はそのプロローグ的な位置付けの記事を書かせていただこうと思います。

スポーツイベントプロデューサーとして各地でスポーツイベントを開催

今現在、私は、山梨県に住み、自転車スポーツの競技場を八ヶ岳にて経営している他、スポーツイベントプロデューサーとして各地でスポーツイベントを開催しています。

経歴としては、テーマパークの中で案内人の仕事や教育を担当したり、ウェディングプランナー、リクルートにて新規開拓の営業などをやり、独立しました。

なんか横文字が多いですね。
一言で表せば、「スポーツ分野でのコンテンツづくりや企画を得意としている人」と認識してもらえると良いなと感じています。

BMXの普及に携わっています

私が関わっているスポーツは、五輪種目である「BMX」の2つの種目。BMXの「レース」と「フリースタイル」という種目の普及に関わっています。2020年東京五輪には28競技321種目もありますが、その321種目の中の2つの種目であるBMXの普及に携わっています。


(普及活動の一環として行なっている #空飛ぶチャリ AIR TRICK SHOW)

日本のスポーツの今とこれから

日本政府は、スポーツ産業活性化に向けて、2025年までにスポーツ産業市場規模を2012年時点での5.5兆円から15.2兆円に拡大する目標を掲げています。

スポーツ産業で、政府が分類しているのは、以下6つのカテゴリです。

①スタジアム・アリーナ施設
②アマチュアスポーツ
③プロスポーツ
④周辺産業
⑤IoT活用
⑥スポーツ用品

このうち3つのカテゴリの試算として「スタジアム・アリーナ施設 2.1兆円から3.8兆円へ」、「周辺産業 1.4兆円から4.9兆円へ」、「スポーツ用品1.7兆円から3.9兆円へ」とこれらの3分野が特に大きな伸び代を期待されています。
2025年までのあと6年あまりで、こんなに伸びる余地があるの?
こう表現すると、さも日本のスポーツが遅れている印象を抱いてしまうかもしれません。さらには、ここまで伸びる余地を残しながら今までのスポーツは何をしていたの?と感じる方がいらっしゃるかもしれません。

ヨーロッパのサッカーと比較すればエンターテイメントの軸においては、まだ伸び代

私の考えとしては、日本のスポーツは課題はあるけれど、後進国ではない。
アメリカの4大スポーツや、ヨーロッパのサッカーと比較すればエンターテイメントの軸においては、まだ伸び代を感じますが、全体として日本のスポーツは世界に誇れるレベルにあると思います。特に育成分野において。

アマチュアスポーツの中でも、五輪でメダリストを多数輩出していますし、サッカー後進国ながら、W杯の常連組。最近は卓球でも世界ランキング上位選手が目立ちますし、バドミントンも同じです。東京五輪は今の調子で行けば過去最高のメダル獲得を狙えるのではないかと思います。

マイナースポーツに身を置く私としては、環境が整わない部分も多いと感じる部分もありますが、関わるBMXでは、アジアにおいてトップクラスの実力を持つ選手がごろごろ存在している状況。世界という視点で見れば日本のスポーツは非常に頑張っていると感じるのです。

深く競技に関与する人間としては、特に環境構築の視点で現状に甘んじるつもりはないですが、現時点の日本のスポーツの全てを悲観しているわけではないという意味で捉えていただけたらと思います。

上記で、エンターテイメントの軸においては、まだ伸び代を感じると書きました。
つまりは、日本のスポーツは育成面において先進的な部分もありますが、スポーツビジネス、スポーツ“エンターテイメント”ビジネスという軸においては、これから大きく伸びそうである、というのが私の視点です。

最近スポーツビジネスの観点で注目しているところは?

スポーツビジネスの観点で、私自身がここ最近特にすごいと感じているのは2つ。
1つは横浜DeNAベイスターズの復活劇。それからBリーグ自体もそうですが、その中で人気No.1のチームである千葉ジェッツふなばしというチームの功績。この2つです。

この2つは、エンターテイメントの力で大きく集客を伸ばしたのは間違いがないのですが、見るべきポイントはそこだけではありません。

どちらにも共通しているのは、いわゆるエスタブリッシュメントな組織や団体、いわゆるお堅い行政やリーグも味方につけながら改革に成功できたことです。

”エンターテイメント性”の部分は見えやすいので注目が集まりやすいです。ただ私としては、改革成功の背景に、信頼の積み上げがあると考えています。エンターテイメント性以前に必要なやるべきこと、つまり関係各所との調整をしっかりと積み上げて信頼を勝ち得たからこそ、今の成功があると感じます。


(Bリーグ千葉ジェッツふなばしのホームゲームでの演出ではプロジェクションマッピングを利用)

改革に向けて理想の姿はあるけど、実態が伴わないというのは、スポーツに限らないところでもよくあることでしょう。見えているところ以外にこそ大きな課題があり、見えていない根っこから改革に取り組んでいるからこそ、真の改革に成功しているのだと考えています。

この2つのチームの改革の成功を掘り下げて行くことで、スポーツ産業活性化に向けて、あらゆるヒントが見つけられると考えています。


(アリーナの演出ではスポーツの試合でありながら、音楽ライブのような空間に by Bリーグ千葉ジェッツふなばし)

スポーツ“エンターテイメント”ビジネス、言い換えると、スポーツの商業主義的な方向性を嫌う組織・団体がまだ多いのが現状ですが、こうして問題が議題化される今は、まさに変革の過渡期。

私としてはチャンスだらけな現状であると思います。

アリーナスポーツ・都市型スポーツに勝機か?

政府が掲げているスポーツ産業活性化に向けては「スタジアム・アリーナの改革」が重要な位置づけにあります。この領域には「スマート・ベニュー」という考え方があり、スタジアムやアリーナを起点に周辺地域を活性化させていこうというお話です。

なぜこれが産業活性化に向けた1番目にくるのか。それは、スポーツの産業拡大に向けた一丁目一番地だからです。スタジアム・アリーナ改革をしていくことが、一番大きな経済波及効果を生み出すと考えられています。

これまでの日本のスタジアム・アリーナは、競技ができることを前提に造成されたものが多く「スポーツの興行」をすることに向いている施設が少なかったのです。これからは、消費者視点・エンタメ視点、さらには周辺施設をも巻き込んだスタジアム・アリーナに改革が進み、スポーツを起点に街を活性化しようという動きがあるのです。

今後は、この大きな改革の上に乗っかるアリーナスポーツ、そして周辺施設で行われていく都市型スポーツに大きな勝機が訪れるだろうと考えています。

ということで今回は、スポーツビジネスの軸でのプロローグ的な位置付けの記事を書かせていただきました。今後は私自身の、スポーツ分野においての具体的な取り組みや、スポーツ界に起きている大きな潮流などについても触れていきたいと考えています。