世界的な人気スポーツの地殻変動? – 未来の五輪競技はガラリと変わる可能性も

日本のスポーツ界に、とても明るいニュースが舞い込みました。
男子バスケットボール日本代表が、W杯予選でカタール代表に勝利したことで予選順位が確定し、21年ぶりにW杯への出場を決めました。

実は、今回の男子バスケ日本代表は、このW杯予選を4連敗からスタート。五輪出場はもう無理だと言われていました。

そこから負けなしで破竹の8連勝。誰がここまで勝ち上がることを予想できたでしょうか。実力でW杯の出場を勝ち得たことで、おそらく2020年五輪も開催国枠が与えられることになりそうなのです。

一つの勝利が2つの大きな大会への出場権の獲得に繋がりそうなのです。

バスケ関係者の方に会ったら、第一声で「W杯出場おめでとうございます!!」と言いたいくらいには、喜びを一緒に分かち合いたい気分です。

さて本日は「世界的な人気スポーツの地殻変動が起こる – 五輪競技がガラリと変わる可能性も」というテーマで書いていきたいと思います。

■ 2020年では一時復活した野球・ソフトボールは2024年は落選

先日、2024年パリ五輪組織委員会にて、野球・ソフトボールや沖縄発祥の空手が落選しました。日本のスポーツ文化を語る上で、欠かすことのできない野球はもとより、五輪こそが日の目を浴びるチャンスであったソフトボールすらも、その機会を失ってしまったことに大変残念な気持ちとなっています。

そして、そもそもの話ですが、五輪の種目は、開催会によって変更があります。2020年の五輪においても、新競技や種目が増えましたし、減ったものもあります。一時はレスリングすらも対象から外れる可能性がありました。

つまり、五輪では、どうしても目を背けられない現実に触れます。それは、五輪は人気競技じゃないと、実施競技から外れてしまうこともある。という現実です。

■ なぜ、人気競技じゃないと五輪の実施競技から外れるのか?

さて、五輪は、なぜ、人気競技じゃないと実施競技から外れてしまう現実があると書きました。どうしてそうなるのか。外れてしまうのはなぜか。

それには、商業五輪の意味合いも強くなっている現実があります。というのも、五輪の大きな収益源である放映権料が獲得できるよう、人気競技を集めなければ、大会運営が苦しくなってしまうからなのです。

人気競技を実施しなければたくさんの方々に五輪を見てもらえない。たくさんの方からの注目を集めなければ放映権料を獲得し大会を維持することが難しいのです。

いわゆる五輪において、長い歴史のある競技が、大会の維持、運営資金獲得を理由に競技から外れることが起こりうるのです。

そうした前提に立って、世界的な人気スポーツの地殻変動に触れます。

■ 世界的にアーバンスポーツと言われている都市型のスポーツの人気が高まっている

2020年五輪では、スポーツクライミング(ボルダリング)、BMX(フリースタイルパーク)、スケートボード、サーフィンなどの競技種目が追加されました。


(Photo by アクティブキッズフェスタ / BMXパフォーマンス)

つまり、アーバンスポーツと言われている都市型のスポーツがメインで追加となったのです。

この傾向から言えることは、アーバンスポーツとは、スポーツの中で「遊びに近いスポーツ」という括れると考えています。

人気になりつつある競技とは、やりやすいスポーツか?です。

つまり、スポーツの語源はラテン語の『deportare(デポルターレ)』です。その意味は、気晴らしをする、休養する、楽しむ、遊ぶなどの意味があります。

つまり今「スポーツ」のこれまでに起きてしまっていたことである「競技」っぽいことではなく、本来のその形である気晴らし、休養、楽しむ、遊ぶことに原点回帰していると見ています。

それを後押ししているのは何か、つまり「遊び起点のスポーツ」の背中を押す存在があります。それは、SNS(ソーシャルメディア)です。

遊びは、SNSとの相性が抜群であり、SNSに乗っかりやすい(SNS映え)する競技がこれからどんどん注目が集まり、台頭していくことになるでしょう。

■ 「SNS映えする」のはカルチャーがセット。スポーツにもその傾向

カルチャーの発信源はどこにあるのか。ほとんどのケースで都市部ですよね。世界的にも海辺に近い平地が都市部になりますが、そこに紐付けやすい海系のスポーツも人気があるのでサーフィンも追加種目に入っているわけです。

いわゆる郊外の「スタジアムでやるような競技っぽいスポーツ」よりも、「遊びに近いファッションカルチャーっぽいスポーツ」に意識が傾きつつあります。
例外はあれど、ざっくり切り分けると、“みる系”の従来型の競技っぽいスポーツは人気が減退傾向であり、“やる系”の都市型スポーツの人気が高まってきているのです。

一方で、ありきたりなまま若者のカルチャーの中に入り込めない旧来型のスポーツは、SNS映えで引けを取ってしまい、都市部に近く、カルチャーの発信源に近いスポーツがこれから台頭していくことになるでしょう。

■ 五輪競技がガラリと変わる可能性も

カルチャーの発信源に近いスポーツがこれから台頭した場合はどうなるか。冒頭に、五輪競技がガラリと変わる可能性もと書きましたが、これは現段階においては、まだどうなるかは分かりません。

ただ現在の人気スポーツの傾向の話。そして人気競技となっていなければ五輪での実施競技から外れてしまう現実を考えると、10大会後(40年後)などの未来の五輪では、実施競技がガラリと変わっている可能性があると考えています。

□ ANOTHER STORY

スズキリ

SHINGO KURONO

Yutaka Yanabu

tomoaki-murano