春夏秋冬じゃない?きものの衣替え

知っておきたい、きものの衣替え

きものの季節分けって知ってる?

日中20度を超える日が増えて、季節が変わろうとしているのを感じます。

この時期街なかを歩くと、早くも半袖の人やトレンチコートの人、薄着だけど足元はブーツの人など様々な季節感が入り混じって面白いのが個人的に好きです。

さてそろそろ半袖ということはきものも夏ものになるのでしょうか?そもそも、きものにも洋服と同じように春服や夏服があるのでしょうか?

 

きものの種類は3種類、衣替えは年4回

実は、きものの衣替えは厳密に決まっているのです。

きものの季節分けは3種類。裏地がついた袷(あわせ)、表地は袷と同じで裏地のない単衣(ひとえ)、薄い生地で裏地のない夏着物(薄物とも)です。

左から袷、単衣、夏着物


 
1年で3種類ということは春夏秋冬ではないんですね。着用シーズンはこちらです。

袷…10月~5月

単衣…6月・9月

夏着物…7月・8月 ※浴衣は夏物と同じカテゴリになります

圧倒的に袷の季節が長く、春と秋は同じなんですね。つまり衣替えは6月1日、7月1日、9月1日、10月1日の年4回ということになります。

 

衣替えの時期は守らなきゃダメ?

ルール上、今はまだ秋冬の袷の時期です。でも… 半袖を着たいくらいの気候の日に真冬と同じきものは正直ツラい。

実はこの衣替えのルールは今から約100年前、警察や官僚の制服に洋服が導入された際の衣替えを基準にしているのです。

100年の間に気候は変わりました。現代の気候に合わせて快適なものを着て大丈夫。本来6月と9月にのみ着用する単衣をGW前後から10月上旬まで着る人が増えてきています。

(ただし、お茶会など伝統的な季節を重んじる場では本来のルールに従うのが無難です)

 

単衣をハズさずに着るには?

春秋に着られて着用時期が長くなっている単衣は持っておきたいですよね。とはいえ季節感はちゃんと出したい。

ポイントは帯周りとのバランス。素材と色柄のふたつの視点でコツをご説明します。

 

①季節の移り変わりに合わせて素材選びをコントロール

単衣には夏ものの帯や小物を合わせるのが本来の組み合わせ。とはいえGW頃から全身夏物にしてしまうとさすがに先取りすぎに見えます。

GW~6月上旬頃と9月中旬~10月上旬は単衣+袷の帯・小物、6月中旬以降と9月上旬は単衣+夏帯・小物 という風に組み合わせると、グラデーションができて違和感なく季節を以降できます。夏帯のときは長襦袢も夏物にしてくださいね。

 

②色合わせで季節感を演出

洋服と同じく、春夏にはパステルカラーなど爽やかな色、秋にはあたたかみのある暖色やアースカラーを取り入れるとぐっと季節感を出しやすくなります。

帯や小物の選択肢が豊富であればあるほど、1着のきものの着回しの幅が広がります。

特にビギナーさんにとっては帯をたくさん持つのは容易ではないと思うので、おすすめは帯揚げ・帯締めのバリエーションを増やすこと。小物といってもこの2点で雰囲気はかなり変えられます。藤など季節の花や貝殻、どんぐりなどシーズンならではのモチーフの帯留めを付けるのもおすすめです!

春の単衣の着こなし。白レースの帯で爽やかに。

同じきものの9月のコーディネート。帯締めと半衿にダークカラーをチョイス。


 
元来のルールがあるとはいえ、普段のおしゃれなら自由でOK。柔軟な発想で季節に合わせた快適なおしゃれを楽しんでくださいね♪

□ ANOTHER STORY

野沢ともみ

SHINGO KURONO

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