hatao

ケルト&北欧の笛奏者、音楽教師、音楽教材著者、楽器店経営者。 ハープと笛のhttp://hataonami.com、ケルトの笛屋さんhttp://celtnofue.com 演奏、教育、普及で音楽を広める。18年京都烏丸錦に、19年東京都ひばりヶ丘に日本初ケルト音楽専門の楽器店を開店。En한中 3か国語学習中。

大好きなことで小さく商売をする方法

こんにちは、ケルトの笛のhataoです。

前回、3週間のヨーロッパ旅行をしたことを書きましたが、その出発の直前に、東京にケルトの伝統楽器店の2号店をオープンさせました

東京に出店を果たしました

2011年にECの楽器店を始めたころから、実店舗を出すことは目標のひとつでした。

EC開業からコツコツと続けて7年後、2018年に京都に念願の実店舗を開業することができました。次のステップとして、東京に2020年に出店を計画。

一度夢に描くと実現のスピードが早まるもので、今年4月に店長候補が決まりスタッフとして入社、9月には理想的な物件が見つかり、想定より早かったものの勢いで契約を結び、開店させることができました。

楽器店といっても、そこは2DKの防音マンション。

東京の家賃が高いことは知っていたので、物件を借りてリフォームすると莫大な初期投資が必要になりますし、維持管理費も高くかかります。それではリスクが大きすぎると考えていました。

固定費を低く抑えるには?

東京に出店するからには、1年そこそこで撤退などという憂き目は絶対に見たくない。

そこで東京のお店は、店長がお店に住みながら家賃の半額を負担、週末の午後だけ営業をすることを思いつきました。こうすれば家賃は低く抑えられますし、店長の拘束時間が少ないので人件費の固定費用を低く抑えられます。固定給が少ない代わりに販売額に応じた歩合給を支払うことにすれば、店長のモチベーションにもつながると思いました。

店長は、営業日以外は当店のSNSのマーケティング、いわゆるSNSの「中の人」を担当しており、そちらは月給制で給与を支払いますので、ダブルワークで稼いでもらいます。これなら、店長にとっても、物価の高い東京で家賃を抑えて生活ができるかと思いました。

楽器店は週末だけの営業ですが、そこに店長が住んでいるので、営業日以外でも予約をいただければ来店していただけますし、営業日以外は教室やレンタル楽器付き練習スタジオとして稼働することも思いつきました。我ながら、アイデアマンです。

このお店の開店のために、僕は日産キャラバンを借りて、慣れない大型車で大阪、滋賀に分散している在庫の楽器をかき集めて東名高速をぶっ飛ばし、2泊3日の開店作業に駆けつけました。

家具はイケアで購入。突貫作業で10月下旬の開店に間に合わせました。

京都店を開店したときにはリフォームに多額の初期費用を投資しましたが、東京の店は普通の防音マンションですので、万が一失敗して赤字続きになっても、賃貸契約を解除して撤退することができます。

臆病な僕は、商売をするには、小さく・手堅く・管理できるリスクの範囲で行うことが身に沁みています。

長く経営をしていると冬の時代が必ず来ますが、そのときには持久力が生死を分けます。赤字が続いたときに、何ヶ月・何年持ちこたえられるか。その対策は、貯金を増やすことと、固定費を少なくすることです。成功することを祈りながらも、失敗した時の痛手が最小限に収まるように行動しています。

商売をする経験は、1本の笛を売って、数百円の利益を得ることからスタート

僕は商売を実家や学校で学んだわけではありません。最初は1本の笛を売って、数百円の利益を得ることからスタートし、雪だるまのように少しずつ商売を拡大させてきました。

アルバイトや会社員など、給料をもらって仕事をしている方にとっては、「商売をする」ことには高い壁を感じるかもしれません。

時給や月給で働いていると、売上の良し悪しに関係なく、決められた一定の金額が毎月振り込まれます。

こういった給与所得者も、実際には店や会社のスタッフとして間接的に商売をしているのですが、お金をお客様から直接もらうのではなく、店や会社からもらうため、お客様相手に商売しているというよりも、会社や上司に貢献することで給料をもらっているような感覚になるのでしょう。

少なくとも僕は会社員時代は、目の前のお客様に貢献することよりも、上司に喜ばれることを考えて仕事していました。

そういう方は、起業をする前に小さなことで良いですから、物やサービスを売ってお客さんから直接お金をいただいて、心理的な壁を突破することから初めてみましょう。

商売の本質は「仕入れて、売る」を繰り返すこと

今はヤフオクやメルカリなどで、不要品や中古品を気軽に売ることができるようになりました。しかし家の不用品がなくなってしまえば販売を継続させてゆくことができませんから、これでは商売とは言えません。

商売は、「仕入れて売る」を繰り返す行為です。

八百屋さんも、宝石屋さんも、車屋さんも、業種は違っても、職種は同じ「販売小売業」です。何を仕入れて売るのかが違うだけです。

「何を売るのか」。それを「商材」というのですが、商売は商材選びがすべてだと思います。商材によって、原価率や回転サイクル、業界の習慣などたくさんのことが決まってきます。

根っからの商売人であれば「どんな商材でもいいから、儲かるものをやりたい」と考えるでしょう。そういうタイプの人は、商品に興味や愛着がなくてもいいのです。この場合は時流に乗って勢いがある商材を嗅ぎ分ける才能がある人が成功します。

僕はもともと商売人ではなく、熱狂的な音楽ファンなので、そういう商売のやり方が向いていないことは、良くわかっていました。そこで、趣味を生かして商売をできないか? と考え始めました。

 

海外の問屋さんに連絡してCDを輸入販売

僕は、ヨーロッパの伝統音楽と民族楽器が好きすぎて、大学生の頃からCDや楽器をコレクションをしていました。ネットを見て新しいCDが出たと知れば、買って聴きたくて仕方がありません。しかし、これでは単なる音楽ファン(消費者)で、お金は出てゆくばかりです。

そこでフランスにある小さなディストリビューター(CDを小売店に卸す問屋さん)に連絡を取って、日本で販売を手伝えないか、申し出てみました。

そこはフランスの伝統音楽のインディーズCDを扱う問屋だったのですが、あちらとしても、日本で販売のチャンスがあるとなれば、悪い話ではないはずです。

ヨーロッパだと小売価格が15ユーロ(2000円)くらい。それを半額で仕入れました。たくさん買えば1枚あたりの送料が安くなりますから、20~30枚くらいまとめて仕入れました。

こうして、そこのディストリビューターから出ている聴きたかったCDをすべて発注して、聴いて楽しむことができました。それによって、音楽家としての知識を深め、フランスの伝統音楽の最前線で何が流行っているのか、どんな人がどんなことをしているのか、知ることができました。

仕入れたCDは、自分のライブのときに「ミュージシャンhataoのおすすめCD」として売ったり、ホームページにレビューや視聴データを載せて販売しました。好きな音楽なので、仕入れから販売まで、どの作業もすべてが楽しかったです。

そもそもマーケットが小さい音楽ジャンルなので大儲けなんてできないことはわかっていましたが、僕にとっては趣味と実益を兼ねた最高のビジネスで、毎回、新しい在庫が来るのが楽しみでたまりませんでした。

大好きなことで小さく初めてみよう!

僕の場合は音楽でしたが、皆さんそれぞれに大好きなことがあると思います。いまアルバイトや会社員で、商売の経験がないけれど、副業や起業をしてみたい、という人は、一番思い入れがあるもので、小さく商売を初めてみてはいかがでしょうか。

食品や流行り物だと、賞味期限や売り切るタイミングが短くリスクが高いですが、僕が扱ったニッチなジャンルの音楽CDは、古びても価値がなくならない商品、むしろ廃盤になると価値が出る商品なので、のんびりと商売できて自分に合っていました。

商品が、身の回りに置いているだけで気分が良いもの、ついつい集めたくなるものであれば、売れなくて在庫が目に入っても、嫌な気分になることはないでしょう。アンティークとか、食器や雑貨、絵本なんかも良いかもしれません。

好きなものについて語るのですから接客は苦にはなりませんし、好きなものを通じて愛好家同士が出会うことができ、人間関係が豊かになります。

いきなり何も愛着のない商品を取り扱うなんて、不自然ですよね。大好きなことで、小さな商売を初めてみませんか。