ホテル会社でクリエイティブの仕事をはじめた理由【ホテルとお酒 Vol.05】

こんばんは。HOTEL SHE, KYOTOの花岡です。

僕は所属こそホテル運営をしている会社にいるのですが、いつの間にかホテルマンとは言えないような仕事(没入型演劇を作ったり、他社の温泉旅館さんのリブランディングをしたり)で生活をしています。

今回は今の仕事をはじめたきっかけ、そして今後やりたいことについて書きたいと思います。(書いてみたら想定以上に長くなったので、2回の記事に分かれています。)

純粋なホテル業界の仕事を夢見ている方には全く参考にならないと思いますが、アイデア発想やモノづくりが好きな方には楽しんで読んでもらえるような記事にしていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

 

広告会社での武者修行期

僕は大学を卒業してから都内の広告会社に就職して、WEBサイトやアプリケーションの制作をディレクターをしていました。

広告の仕事と言うと、ドラマや映画の影響かすごく煌びやかなイメージを持たれますが、その60%は嘘、残り40%は誇張だと思っています。

代理店の営業職はどうか知りませんが、僕ら制作サイドは夜深くまで納期とクライアントのオーダーに終われてデスクトップ画面と睨めっこしています。今は大きな声では言えませんが、朝まで企画書を作ってその足でお客さんにプレゼンする、みたいなことも日常的にありました。

それでもデザイナーやエンジニアの人たちとあーだこーだ言いながらプロダクトをブラッシュアップしていく制作過程が好きだったので、寝る時間がほとんど無くなっても割とご機嫌に働いていました。この4年間がクリエイティブ武者修行的な意味ではとても有意義だったし、今の仕事で必要とされる企画力やプロデュース力は全てここで身についたと思っています。

他の仕事ももちろん大変だと思うのですが、WEBやアプリケーションって目に見える表側だけでなく、裏側のシステム知識やサーバーとのデータ連携、サイトが使いやすいための階層構造など、多角的に判断しながら制作指揮をとる必要があります。大規模なWEB開発をマネジメントできるようになれば、ディレクション面ではかなりスキルが身につくはずです。

そのため、もし「将来やりたいことわかんない、けどバリバリ働きたい〜」と考えている人はとりあえずWEBディレクターを目指したらいいと無責任に説いています(笑)少なくとも僕はやってよかったなぁと思ってます。

 

広告業界の“良い仕事”

そんな感じでご機嫌にお仕事をしていたのですが、4年くらい働いた後、ふとしたタイミングで「0→1でものづくりをしたいなぁ」と考えはじめました。

広告のお仕事は基本的にクライアントワークで、広告主というお客様がいます。お客様は、有名な飲料企業だったり、鉄道会社だったり、国レベルだったり。そのため、動かせる予算は億単位。有名人を起用したり、大規模なプロモーションが打てたり、作ったクリエイティブを目にしてくれるエンドユーザーの数もある程度は保証されます。

また、自らが属している部署の売り上げ目標はありますが、あくまでクリエイティブのビジネス的な効果測定はクライアントサイドがおこなうことも多いため、モノづくりに集中できる環境もあります。

とても恵まれている環境ではあるのですが、あくまで最終意思決定者はクライアント。広告の仕事の最終的なゴールは”かっこいいクリエイティブを作る”ことではなく、”お客さんの商品が売れる”ことです。

最近、某コンビニエンスストアのパッケージのリデザインが賛否を呼んでいましたが、リデザイン以降でコンビニの売上が上がっていれば成功だし、下がっていれば失敗なわけで、どれだけ批判を受けようが結果が出ていれば問題ないはずです。(もちろんユーザーの声は参考にすべきではありますが)

つまり広告(クライアントワーク)にクリエイターのエゴは不要で、ただ論理的に成果を出すことが、良い仕事とされるわけです。

 

自分にしかできない仕事

論理的な成果を出すために必要なことは、過去の成功事例のインプットを増やして、いわゆるPDCAを回しまくることです。そのサイクルの中ではなかなか実験的なクリエイティブは生まれにくい感触を持ち始めました。

もし海外などで成果が出ていたりすれば可能性はありますが、あくまで発注者であるクライアントも広告出稿による成果を社内から求められているので、大きな予算を使って博打を打とうなんてなかなか思わない。

最初は制作過程が好きだったのでそこまで気にならなかったのですが、だんだんと慣れてくると「前回のマネでいいんだっけ?」「この仕事、別に自分じゃなくてもできるんじゃない?」と思い始めました。

どうせ生きるために働くのなら、好きなことをやってハッピーに稼ぎたいし、自分にしかできない仕事をしたい。そう考えて、そんな仕事ができそうな環境を探し始めました。

 

(次回に続きます→)

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