ひとり社長になりました! 法人登記の経験をシェア(後編)

こんにちは! ケルト音楽の楽器店を経営している、ケルトの笛のhataoです。
この連載は、私のようなスモールビジネスに興味のある方に、私に経験や考えを お伝えしています。

先日2021年9月某日、私の楽器店「ケルトの笛屋さん」は法人登記をし、創業10 年目にして合同会社法人「ケルトの笛屋さん」となりました。今回は、2回に分 けて、法人化の体験をシェアしています。

前回の記事はこちらです。

ひとり社長になりました! 法人登記の経験をシェア(前編)

合同会社設立にあたり準備するもの

合同会社設立にあたり、いくつか必要となるものがあります。私は行政書士である兄のアドバイスを受けながら準備しましたが、皆さんはそれぞれ状況が異なると思いますので、この記事は参考程度として、実際の手続きについてはご自分でお調べください。

1.自分の印鑑

代表社員である自分自身の印鑑証明を取らなくてはいけないので、シャチハタや100均で買える三文判ではなくて、銀行口座開設時に使うようなきちんとした印鑑が必要です。社会人で持っていない人はいないと思いますが、必要であれば通信販売で数千円からで買えます。

2.法人印

設立する会社の社名が刻印された印鑑です。法人印は実印、銀行印、角印の「3点セット」を用意するのが一般的なようです。使い分けについてはネットでお調べください。私は、とりあえず会社の登記に必要な丸い「実印」だけ製作してもらいました。立派である必要はありませんので、通販で数千円から買えます。

3.各種書類

提出時に必要な書類は、次章で紹介します。いずれも自分でWordなどで作成して印刷すればOKです。「婚姻届」のように、わざわざ法務局に出向いて書類を取ってくる必要はありません。

4.資本金

設立時の資本金は1円以上で設定する必要があります。お金が実際に存在することを証明するために、申請直前に自分の銀行の口座に入金します。

5.「6万円」の収入印紙

申請時に法務局に支払う料金は印紙で納めます。収入印紙は役場や郵便局で購入できます。収入印紙に種類はないので、郵便局で「6万円の収入印紙をください」でOKです。印紙には、当日まで押印しないこと!

 

法務局に提出するものはこちら!

申請に必要な書類は以下のとおりです。すべて、A4サイズの用紙で、自分で作成して、自宅で印刷することができます。私は行政書士の兄に書類を作成してもらったのでとても楽でしたが、すでに会社設立をしたことがある人に聞きながら、またはネットで情報収集して自分で作ることも十分可能です。全然難しくありません!

1.合同会社設立登記申請書

なんだか仰々しい名前ですが、A4用紙3枚ほどの書類です。代表者(この場合は自分)、本店(自分の会社の所在地。自宅でも良いし、事務所など住民票のある場所とは別でも可)、事業内容、資本金の金額(1円以上いくらでもOK)など登記する内容について記し、印紙(合同会社は6万円)を貼り付けて提出します。印紙には提出時まで押印しないこと。

2.就任承諾書

こちらもA4用紙1枚だけです。「私は令和某年某月某日、合同会社ケルトの笛屋さん事務所において、貴社の代表社員に選任されたので、その就任を承諾します」と書きました。空白がやたらと多いです……。

私は一人会社ですので、自分を代表者にして自分で承認しました。なんだか自作自演のようでこそばゆかったです。

3.定款

会社の概要をまとめた書類です。大半は「合同会社設立登記申請書」にすでに書いていることではありますが、社名、会社住所、資本金、事業内容、社員規約、会計期間などをより具体的に書きます。私の場合はA4用紙3枚ほどでした。

4.代表社員の選任、本店所在場所、資本金の決定に関する決議書

漢字だらけで思考停止してしまいそうですが、全然難しくありません。代表社員(自分)、本店所在地、資本金の3点についてこう決めました、というA4用紙1枚の書類です。一人社長の場合は代表社員もそれを認める人も自分です。

5.印鑑届

法人の代表印を届け出るためのA4用紙1枚の書類です。ある程度は決まった書式があるので、行政書士などに作ってもらうか、テンプレートを探したほうがよいでしょう。

6.払込証明書(および資本金を振り込んだ通帳のコピー)

自分の銀行口座に、資本金(私の場合は100万円)を他口座から振り込んだことを証明するA4用紙1枚の書類です。

通帳を使っている方は振り込みされたことがわかる通帳のページをコピーします。ネットバンキングを利用していて通帳の無い方はPCの画面を印刷して「払込証明書」にホチキスで留めて一緒に提出します。

私は自分のUFJ銀行の口座を資本金の受け入れ口座にしたので、自分のゆうちょ銀行の口座から100万円をネットバンキングで振り込み、同日にUFJ銀行のネットバンキングの電子通帳を印刷したものを提出しました。

日付は、申請日の直近の営業日が良いそうです。

7.自分の印鑑証明書

代表社員である私個人の印鑑証明書です。印鑑証明は、シャチハタなどではない 正式な印鑑が必要です。印鑑は楽天など通販で買うことができます。その印鑑を持って住民票がある自治体に行って、印鑑登録をし、証明書を発行し てもらいます。

8.住民票

代表社員である私個人の住民票です。地域の役場でもらえます。

ドキドキの提出!

小雨が降る天気9月某日、神戸市の法務局に提出に向かいました。

すべての書類を用意することはもちろん、個人と法人の印鑑2つも忘れずに持って行きましょう。印紙は、まだ買っていなければ法務局で購入ができます。現金でしか買えないかと思いますので、当日印紙を購入する人は現金を準備しておきましょう。

神戸法務局の事務所は思っていたよりも小さく、中にはたくさんの人がいました。私のように今日、法人の申請をする人もいるのでしょうか……。

まずは案内係に会社の登記申請であることを伝えます。印紙が必要であることを伝えると、販売係を案内してもらえました。ここで6万円を支払い、印紙を買います。

「登記申請書」に印紙を貼って、他の書類と一緒に提出。これで完了です。あっけなく終了しました。受付票をもらいました。

なんの苦労もない申請でしたが、達成感がわきあがり、法務局から出てすぐにTwitterやFacebookで法人化の報告を投稿しました。「おめでとう」のリプライが届きました。

 

ところがアクシデント発生!

法務局を後にして数分、駅に向かって歩いているところで携帯電話が鳴りました。「申請についてお話があるので戻ってください」とのこと。

なにか書類に不備があったのかもと思い急いで法務局に戻ると、なんと受理ができないとのこと。一瞬、目の前が真っ暗になりました。

理由を尋ねると、会社の住所が私の住民票がある兵庫県ではなく、私の所有する和歌山県の自宅であるために、兵庫県ではなく和歌山県に提出しなくてはいけないということでした。

すぐに兄に電話をかけたところ、兄も私が兵庫県在住であるために、すっかり勘違いをしていたとのこと。みなさんも、「会社住所」の法務局に提出するように気をつけてくださいね。

書類は返却されましたが、6万円の印紙は無効になるとのことで、また焦りました。しかし印紙代金は後日、兵庫県の税務署から全額返金されるとのことで安心しました。

さてまた申請をしなくてはいけなくなりました。SNSで報告したのにカッコワルイ。

私の家から和歌山市の法務局へは電車で3時間。さすがに自分で提出しに行くのは大変なので郵送を受け付けていないか調べてみたところ、可能だということがわかりました。なんだ、神戸に行く必要もなかったのか。

すべての書類を再度印刷し、印鑑を押し、印紙を郵便局で購入し貼り付けて和歌山法務局にレターパック・ライトで送付。2度目の申請は、要領を得ているので簡単でした。

登記申請はだいたい1、2週間かかるそうです。書類の不備など問題があるときだけ連絡があり、問題なく登記されたときは特に連絡がないと聞いていたので、ドキドキしながら待ちましたが、何も連絡がなく日が過ぎていきました。

そして9月下旬、法務局のホームページで自分の会社名で登記の有無を調べてみると、きちんと登録されていました!

「ケルト」で登録している会社がいくつもあることが意外でしたが……。

ということで、準備からおよそ1か月の登記申請は完了しました。登記が終了してからする手続きも色々あり当分は忙しいのですが、それについてはまた今度。起業を考えている方の参考になりましたら嬉しいです。

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