hakko-bunka

発酵文化研究所(運営:株式会社Career Lab) 自身の経験から、日本人の身体に合う伝統的な「発酵食品」を手軽に続けられるようレシピ提供、ワークショップ、食育・腸活アドバイス、各種商品開発を行う。 酒粕料理研究家/発酵マイスター/上級食育アドバイザー/腸活アドバイザー

日本各地の発酵食品 vol.1鰹節、魚醤

新年あけましておめでとうございます。
発酵文化研究所です。
本年も、よろしくお願いいたします。

2022年は、
日本各地の発酵食品を少しずつご紹介したいと思います。

初回は、年始にいただく雑煮や鍋料理に欠かせない「鰹節」と「魚醤」。
これを機に、ご興味をお持ちいただければ幸いです。

①鰹節

鰹節は、日本人なら知らない人はいないくらいメジャーですが、
発酵食品だと知らない人は、まだまだ多いかと思います。

鰹節はカビ(麹菌)を利用して作る、
世界で最も硬い発酵食品といわれています。

発祥はモルディブ共和国といわれ、※所説あります。
たくさん捕れる鰹の保存のために発達したと考えられます。

一言で鰹節といっても種類も様々。

 

・荒節:カビ付けをしていない燻製までの工程の鰹節。
お好み焼きなどによく使われる。
香りもうま味も濃く、
味噌汁や煮物などに向く力強さを持ちます。

・削り節:荒節を削ったもの。
「花かつお」と聞くと馴染みがあるかと思います。
お好み焼きなどによく使われるのでなじみ深いかと思います。

・枯節:カビ付けをしている。
香りが優しく上品な出汁がとれるので、
お吸い物など繊細な料理におすすめ。

・本枯節:カビ付けを2回以上している。
枯節よりも、さらに旨味が深くなり芳醇に。
熱々ご飯にのせて、ほんの少しのお醤油でご馳走になるくらいです。

・かつお節削り節:枯節、本枯節を削ったもの。

 

私は、鰹節が大好きで「ちょいがけ」を楽しみます。
何にかけても、その香りとうま味で美味しくなり、
心から癒されるような気持になります。

自分が目立とうとするのではなく、
その素材の良さを引き出してくれる縁の下の力持ちのような存在。

ご飯だけでなく野菜や麺類にふりかけたり、
意外とチーズとも相性が良く、クリームチーズにのせたり。

おすすめなのは鰹節トースト
食パンに鰹節とチーズをかけて焼くだけなのに、
とてもうま味の濃いチーズトーストになります。

そして嬉しいのが高タンパク低脂肪ということ。
一袋3g程度とした場合、
タンパク質を約2g程度摂ることができ、
脂質は、ほぼ無いに等しい数字です。

そんな旨味たっぷりで楽しみ方無限の鰹節。
大切にしていきたい日本の伝統食品です。

②魚醤

うま味の個体が鰹節ならば、
うま味の液体は「魚醤」ではないかと思っています。

多くの方が魚醤と聞くと、
タイのナンプラーやベトナムのヌクマムなど、
外国の物を思い浮かべる方が多いと思います。

実は、海に囲まれた日本だからこその、
日本の魚醤も存在するのです。

そもそも魚醤とは、醤油を作る原料として、
大豆などの穀物ではなく、魚介類を使用したもの。

その魚介類自身が持つタンパク質分解酵素と、
微生物の働きによって自然発酵し液体が生まれるのです。

 

代表的な日本の魚醤は ※()内は原料。
・秋田県のしょっつる(ハタハタ)
・能登半島のいしる(するめいか、真鰯、鯵など)
・香川県のいかなご醤油(いかなご)
ですが、
この他にも鮎や鮭、貝類を使った魚醤もあります。

 

いずれも、タイやベトナムの物よりも香りや味の癖がなく風味豊か。
やはり日本で生まれた物だけあって、
日本人にも受け入れやすい味と香りになっています。

使い方としては、
冷奴や野菜の浅漬けに風味をプラスしたり、
鍋つゆや炊き込みご飯、チャーハンなどにもおすすめです。

私は手水の代わりに魚醤を使う「魚醤おにぎり」にしたりもします。
おにぎりは小学生の甥っ子や姪っ子に大人気で、
握った先から食べられてしまうほど。

比較的、塩分が高めなので、
醤油との置き換えには注意が必要ですが、
難しく考えず、香りづけや旨味を足したい時にお使いください。

 

いずれも、先人の知恵により、
人の手間暇と発酵の力によって生み出された日本の伝統食品。

美味しく楽しみながら、
残していきたいと考えております(*^-^*)