野沢ともみ

アウトドアライター・デザイナー。小柄女子でも背負える軽量&コンパクトな荷物でキャンプをする様子を、Twitter(@TOMOchanCAMP) にて発信中。めんどくさがり屋をこじらせ、テントよりも設営が簡単なハンモックに泊まるキャンプスタイルばかり。ハンモックをこよなく愛し、国内未発売モノ含むいろんなハンモックを使うハンモックオタク。アウトドア雑誌やWebメディアにて記事執筆中。

ハンモックと夜 〜ハンモックで過ごす夜の事件簿〜

こんにちは。
すっかり春の陽気になって、ハンモックでのお昼寝が気持ちいい季節ですね。
少し前に比べて夜も暖かいので、ハンモック泊にもちょうど良い時期になってきました。

お昼寝のみならずハンモックで一夜を過ごす、”ハンモック泊”。

私はこれがたまらなく好きで、キャンプの時はたいていテントの代わりにハンモックで泊まっています。

誰かに話すと「ええ?ハンモックで一晩って・・・・こわくないの?大丈夫なの?」と言われ少し引かれることも多いのですが、思い返してみるとたしかに最初は「一晩」のハードルが高かった気がします。

今回はたくさんの夜をハンモックで過ごしてみて、以前は怖かったけど克服したことや、起こった事件なんかを紹介していきたいと思います。

 

ハンモック泊の夜、暗い森が怖い問題

ハンモックで過ごす夜は、お昼の時間帯と違って真っ暗です。木の多い森林だと余計に。

うっそうとしていて、奥行き感もよく分からない。得体の知れない何かがいるかもしれないし・・・森の神的なものとか、ラスボスみたいなものとか?
それがシンプルに怖い!夕方くらいからどんどん暗くなっていく森に飲み込まれてしまうんじゃないかと、はじめの頃は心配したものです。

日が落ちて暗くなったらすぐに眠って・・・そのまま朝まで眠ってしまえば怖くないかも!と天才的な案を思いついたこともありますが、そんなに急に12時間とか眠れるのか???って話です。なんとなく、夜中に目が覚めて絶望する自分の姿が容易に想像できてしまうので、長時間睡眠案は諦めました。

やはりある程度の時間までハンモックでダラダラした後、眠気が来る自然な時間帯で睡眠に入るのが理想なのです。

小型ライトの明かりを頼りに

日が落ちてから眠くなるまでの時間、森に飲み込まれないようになるべく明るく過ごすにはライトが重要になってきます。ライトがあればその灯りを頼りに、ハンモックに腰掛けて晩御飯を食べたりたき火の準備をすることができるのです。

ライトは小型で明るいものがたくさん出ているので、それをハンモックのリッジラインという部分に引っ掛けて吊るして使います。
※リッジラインとは・・・ハンモックのたるみを一定にする為の目安になるヒモのようなものです。


ここに引っ掛けると、自分がちょうど寝ている部分が上から照らされてテント内と変わらないくらいの明るさになります。

あまり重量のあるライトを選ぶとリッジラインがだる〜〜〜んと垂れ下がって機能しなくなるので、なるべく軽めのものがオススメです。

あとは好みもありますが、真っ白なライトよりも電球色などの暖色のライトの方が癒しの雰囲気が高めですね。人間の本能なのか、本当にライトがひとつあるだけでホッと心が安らぎ、安心感に包まれます。

電波もないような山道を車で走っていて、すれ違う車もいなければ歩いている人もいない・・・もしや世界でひとりぼっちになってしまったのか?と、半ベソをかきそうなタイミングでふと目の前にコンビニが現れた時のあの感じに近いのではないでしょうか。ライト、いやライトさま・・・存在してくれて本当にありがとう・・・

 

ハンモック泊の夜、見えてはいけないものが見えてしまうかもしれない問題

暗さに関してはライトで解決するとして、もうひとつ怖いことが出てきます。

想像してください。夜も深くなった頃、眠気がきて、いざハンモックで睡眠・・・となった時、暗い森の中でポツンと浮かび上がる・・・「ハンモックに横たわるオレ」。

そう、ハンモックはテントと違って寝姿が剥き出しで丸見えなのです。なんて無防備なんでしょう・・・そういう寝方に慣れている人だとしても寝ている間に何が起こるか分かりません。おぉ、怖い怖い。

ではどうしているのかというと、ここで登場するのがタープです。いわゆる屋根代わりの大きな布、こちらでハンモックを覆ってしまいます。


こんな感じですね。

壁になるので、中の空間はテントにだいぶ近くなります。
こうしてタープで覆ってしまえば、夜露で体が濡れることもなくなるし風も遮れて暖かいというメリットもあります。

外から見ると、もう何がなんだか・・・。パッと見た感じもテントに近く、中で何をやっているのか分かりません。変な姿勢で寝ていてようが口を開けて寝ていようが、誰にも見られることなく過ごせます。安心して白目を剥いて眠ってOKなのです。

そして何より、自分自身が何者かに見られないというだけでなく、自分自身もまた見えてはいけないものが見えてしまうということがなくなるので一安心です。このスタイルだと基本的にタープの壁しか見えないので、夜中に目が覚めた時にも怖い思いをしなくて済みます。これ本当に大事!

 

一晩過ごすとこんなことも・・・


ハンモック泊ではライトやタープを使い、「夜がなんとなく怖い」という気持ちを克服してきました。

しかし、一度だけとっても怖い思いをした事があります。

ある初夏の夜、いつも通りハンモックに横たわって眠りました。先述のライトやタープを使った完全ハンモック泊装備だったので怖いなという気持ちは一ミリもなく、遠くに聞こえる虫たちの声が心地よいすてきな夜でした。

ぐっすりと眠り、今度は鳥たちの声で目が覚めます。ああ、もう朝になってしまったのか・・・とても気持ちよく眠れたなぁ・・・さて少し顔でも洗ってくるか〜と、ハンモックを降りることにしました。まだ頭がぼやぼやとしている中、昨日履いていたサンダルに足を入れたその時です。

 

ぎゃ!!!!!!!

 

足に何かが当たり、反射的にサンダルを蹴飛ばした私。おそるおそるのぞいてみると、

・・・


なんとサンダルの中でセミが羽化しているではありませんか。

きれいな透明のセミが、「何すか?いきなり」って顔でこちらを見ていました。大の虫嫌いな私にとっては地獄のような目覚めです。というか地獄、思い出すだけで地獄。

ハンモックに乗った時に脱いだサンダルを一晩外に置きっぱなしにしたせいで、ちょうどいい羽化場所として使われてしまったようです。
ううう、なんでよりによって私のサンダルだったんだろう。。。し、自然を感じられる出来事ではあるけれど…虫の中でも特にセミが苦手な私にとっては心臓が止まるかのような事件でした。

ムカデなどの刺す虫じゃなくて良かった・・・・と思いつつ、この日以来、ハンモックで寝る前には光の速さで脱いだ靴を片付けるようになりました。一時期は靴を抱えて眠っていたこともあります。もう2度とあんなびっくりする目覚め方はしたくない・・・。

ハンモックで過ごす「一晩」の魅力

ハンモックで過ごす「一晩」にはいろいろとありますね。

虫や防犯面など気をつけるべきことは多いし、慣れるまで少し怖かったりもしますが、普通のお昼寝とは少し違うハンモックの楽しさがあることはたしかです。ハンモックから眺める星が綺麗だったり、夜の森の静けさを感じられたりと、夜を過ごすからこそ感じられる魅力もたくさんあります。

暖かくなっていくこれから、ぜひ最初の一晩を過ごしてみてはいかがでしょうか(靴はちゃんとしまうことを強くおすすめします!)