旬の食材練習帖「ほや」-2022夏編-

旬の食材練習帖 夏編

2022年は梅雨が異例の早さで明けたのもあって、夏到来の”前倒し感”に圧を感じております。

そんな中、春に始めた「慣れぬ食材を、あれやこれやするのを掲載する暴挙シリーズ」こと「旬の食材練習帖」の夏編に取り掛からねばと、圧に背中を押されるように考え始めました。

いそいそと夏が旬の食材を調べていると「ほや」を発見。

苦手な方も多いと思われる食材ですが、宮城出身の母がたまに「殻付きのほや」を買ってきてはさばいたものを出してくれていたので、私自身には苦手意識はないのです。

が、母のほや調理を見ていたはずなのに、さばき方をまったく覚えていない。分からない。

「どうやるのー?」「へー!!」などと言いながら見ていたはず。というか、その記憶はある。
でも、肝心なさばき方を「キッチンばさみ使ってたっけ…」くらいしか思い出さない。

子育ての不毛な一面を感じさせるエピソードですね。母、ごめん。

 

まずは、ほやのさばき方を研究

そんな状態なので、まずはさばき方を調べます。

ハウツー系の調べものをする時は、複数の情報にあたり「共通点」と「差異」を洗い出すのが効率的なので、「ほや さばき方」でどんどん検索していきます。

そうすると、以下のようなポイントがあることが分かってきました。

①ほやの中の水を出す
頭の突起を、2つとも切る or 口がプラスに見える方を切る
or 根を切る
or 2つに切る
(ほやの中の水(「ほや水」というらしい)を取っておくor捨てる)

②殻を切り、ほやを取り出す

③ほやを開いて、内臓などをきれいに切り取る

④ほやを洗う
ほや水を使う
or 塩水で洗う

…思いのほか、選択肢が多いぞ。

一番多く目にした「頭の突起を2つとも切る」ことにし、ほや水は衛生上の不安に言及している記事もあったので、今回は使用しないことに決定。

というわけで、いざ、ほや初さばき!

 

殻付きほや

こんな立派なほやが手に入ってしまったため、初調理のプレッシャーが予定外にあがる事態に。

 

ほや突起

頭の突起をよくよく見ても、確信を持って「プラスだ!」「マイナスだ!」みたいに言いきれない。
やはり「2つとも切る」でいこう。

 

ほや突起カット

切ると、オレンジ色のほや水やフンが出てくる。ぐっと絞って出るだけ出します。

 

ほや殻カット

キッチンばさみで縦に切れ目を入れます。
切れ目から指を入れ、くるりと身を取り出します。

 

ほやむき身

殻にまったく執着がない感じでするりと取れます。
「そんなにあっさり別れていいのか?」と諭したくなるくらい。

 

ほや内臓

身に切れ目を入れて開き、黒ずんで見える内臓やフン、口を取ります。
ほやの苦みが苦手なら、ゼリー状のものなど表面を全体にそぎ取った方がよいみたいです。
私は、このほやの鮮度がよかったのと、苦みも好きなので、軽くそぐくらいにしました。

赤っぽい、ウニみたいな形状のものが甘くておいしかったので、これは別で楽しむことに。

 

ほやさばき

そんなこんなで、なんとかさばき終わりました!
おめでとう自分!!

試行錯誤+悪戦苦闘のたまもの・初さばきほやを、生と加熱の2通りで料理してみようと、こんな2品を作ってみました。

 

 

■ほやと桃のレモンマリネ

ほやのマリネ

そぎ切りにしたほやをしっかりめの塩で和え、くし切りにした桃はレモン汁でマリネ。
桃マリネの水分を切って、ほや、刻んだパクチーを入れて、あらためてレモン汁で和える。
盛りつけて、塩をふったらできあがり。

ほやの甘みが桃とリンクしつつ、苦みがニュアンスになって、これ気に入った。
桃とどちらを使おうか迷ったマンゴーでも、たぶんいけそう。

レモンと塩は、思ったよりきっちり決めた方がよさそうです。
この学びから、今度はほやを塩締めして作ってみたいな。

 

■ほやのレモンバターリゾット

ほやリゾット

鍋で湯を沸かしておく。
刻んだねぎとニンニクを多めのオリーブオイルとフライパンに入れて塩して、弱火でじくじくと。
ねぎがくったりしたら白ワインを入れて一度沸かす。ひとつかみの生米(一人分)を加えて全体にオイルがまわるようにさっと炒める。

1.5㎝角に切った1/2個分のほやの半量を入れ、沸かしておいた湯を全体がしっかり隠れるくらい加える。米が好みのやわらかさになるまで、必要であれば湯を足しながら火を通す。

大葉とアーモンドを細かく刻んで、オリーブオイルと塩で調味したソースを作っておく。

リゾットの仕上がりにバターとレモン汁、残りのほやを加えてさっと和え、器に盛る。
大葉ソースをところどころに落とし、パルメジャーノを削りかけてできあがり。

ほやに、しっかり火を通すのと、さっと火を通すのと、どちらがどうなるかが分からなかったので、比べられるように最初と仕上げの両方に入れてみました。

しっかり煮込んだものも固くならず、ぷりっといい食感で仕上がりました。
出汁も出るので、こういう料理の場合は先に入れてよさそうです。

独特の苦みなども抑えられるため、苦手意識が強い方は火を通す調理法から入るのもいいかと思います。

 

夏食材練習帖ー後記ー

やはり初めて扱う食材と向き合うのは、思考や集中力が高まって楽しいものでした。

新鮮なほやを手に入れられたことも大きな幸運だったな。
いろんな箇所を試食しながらさばいていて「うまー!」「あまー!」と思わず声が出ていました。

残りを晩酌のお供にいただいたのですが、さばき立てよりも甘みが減って苦みが強まっていたので、殻つきほやはさばき立てがおすすめです。
(ほやの苦みも好きなので、私はおいしくいただきました)

ほや初心者にそんな幸運をもたらしてくれたのは、日ごろから愛してやまないさすがの吉池。↓
吉池、最高!

 

 

□ ANOTHER STORY

Saki Nakui

SHINGO KURONO

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