趣味の世界でトラブルを起こさないための十か条

職場でも趣味の集まりでも、同じメンバーで長く付き合っていると誰かと険悪な仲になったり知人どうしがトラブルになったりと、人間関係の難しさを感じることがあります。
職場であれば人間関係で失敗しても退職すればリセットできるので、反省を生かして新しい職場で良い人間関係を築けば良いでしょう。しかし趣味の世界では自分が趣味を辞めるか海外移住する以外に逃げようがありません。そこには、一生をかけて同じメンバーでやっていくことの怖さがあります。

私も若い頃は多くの人とトラブルを起こした痛い経験があります。自覚なく無礼なことをしていたり、若さゆえに生意気だったりしたのでしょう。去る人は何も教えてくれませんから、自分で気づく以外に改善する方法はありません。こうしてあちこち頭をぶつけながら、社会人としての常識やマナーを身につけて少しは賢くなったつもりです。しかし周りでは良い年齢の大人同士がトラブルに発展するケースをよく見聞きします。

会社や家庭生活から逃れられる一人時間、大好きな趣味のコミュニティでは居心地良く過ごしたいですよね。「絶対に人とトラブルを起こしたくない」。そんなあなたのために、心構えについて考えてみました。

1、共通の趣味で友達が作れるとは思わない

大前提として、同じ趣味がある者同士だからといって性格が合うとは限らないということです。たまたま同じものが好きだっただけです。偶然やご縁ではなく、たまたま使っている洗剤が同じだった程度のことです。高校のクラスメートで仲良くなれなそうな性格の人とは、共通の趣味があっても仲良くはなれません。趣味を通じて友達が作れるという幻想を捨てましょう。

2、自分と違うスタイルを認める


入口は同じ趣味だとしても、長くやっていれば、好みやスタイルが広く深く細分化していくものです。これはどんな分野にも当てはまります。その中には自分とは異なる考え方、やり方、好みの人もいます。自分と同じものが好きなはずだ、自分のやり方が最高の方法だという考えは捨て去り、多様性を認めましょう。もともと育った場所も環境も教育も違う他人なのですから。

3、優劣を比較しない


同じくらいのレベルだと思っていた人が、今や自分より抜きん出ているかもしれないと感じることがあるでしょう。そんな時は対抗心を出さずに、素直にその人の努力と才能を認めましょう。苦もなくやっているように見えてもすごく努力しているかもしれません。そうでないのなら、生まれ持った才能があなたとは違ったのです。諦めましょう。そんな差異など、世界トップレベルからみたらミジンコの背比べです。

4、貸し借りしない

仲良くなるためには、何かを貸したり借りたりすることが良いそうです。しかし貸し借りはトラブルの元にもなります。貸したのに返されない、壊された、自分の好意を恩に感じていない、などモヤモヤが生まれます。例えば良いアイテムの話を聞いても、借りずに自分で買いましょう。おごりあいとか、お金の貸し借りなんて、絶対にしてはいけません。

5、甘えない、期待しない


コミュニティの仲間があなたのために何かしてくれると期待してはいけません。
わからないことがあったら人に聞かずに自分で調べましょう。頼みごとはしてはいけません。困りごとは自分で解決しましょう。次の練習の予定など自分の都合のために人に譲歩させてはいけません。
ただし、あなたが与えられる立場になった時にはメンバーを助けてあげましょう。しかし何か見返りがあるとは絶対に期待してはいけません。

6、敬語を崩さない

何十年と顔を合わせる仲であっても、始終、敬語を貫きましょう。相手が年下だろうが、学生だろうが、新入りだろうが、関係ありません。相手がタメ口で話しかけてきても、それは罠ですから気をつけて。家に帰るまでが敬語です。

7、プライベートを語らない


趣味の集まりでは、その趣味の話以外は一切してはいけません。ビジネスの世界では政治・宗教・スポーツの話はタブーだとされていますが、趣味の世界だからと気を許してはいけません。
自分の仕事の話はもちろん、生い立ちとか、家庭環境とか、家族とか、病気の話は一切してはいけません。住所を聞かれても「JR〇〇線で来ました」くらいに濁しましょう。
まわりから「あの人いつも来てくれて、ニコニコして感じはいいんだけど、誰も素性を知らないのよねー」と言われたら成功です。スパイだとか暗殺者だと思われるくらいがちょうど良いのです。

8、人の噂話や批判をしない


狭いコミュニティで噂話や隠れた批判は必ず本人に伝わります。はい、必ずです。本人に面と向かって言えないようなことは、誰かに話すべきではありません。ツイッターの裏アカを作って、こっそりつぶやきましょう。

9、本音を語らない

その業界のプロのことや、業界の体制などに思うところがあっても絶対に語ってはいけません。みんな、あなたとは考え方が違います。ツイッターの裏アカを作って、こっそりつぶやきましょう。

10、感情を見せない

その日に職場で叱られても、反抗期の娘と喧嘩しても、趣味の集まりには絶対にその感情を持ち込んではいけません。不機嫌だとコミュニティの誰かが不愉快な思いをしてしまいます。そういう時は相手に悟られないように自分から話題を振らず、何を聞かれても「はい、そうですね^^」と答えてニコニコしていましょう。

<番外編> わざと隙を見せる

以上のことを全て守れば、絶対に誰からも悪い感情を持たれたり、批判されたりすることはありません。しかし一つだけリスクがあるとすれば、「あの人は付き合いにくい」、「つかみどころがない」、「お高く止まって気取っている。バカにしている」と言われ敬遠されてしまうことです。

それを避けるために、わざと隙を見せましょう。何もないところでつまずいたり、飲み物をこぼしてズボンを汚したり、それを拭こうとしてハンカチを出したらパンツだったり、毎回会うたびになぜか「じゃがりこ」を食べている…という感じです。ただし酒で泥酔して帰れなくなるとか、離婚や投資で大負けした話など深刻な隙を見せるのはダメです。

ここまで気をつければ、コミュニティのみんなは絶対にあなたのことを嫌いにならないし、誰ともトラブルにならないでしょう。

しかし、心から許しあえる友達になることもありません。もしトラブルになってもいいから友達が欲しいということであれば、以上の十か条と正反対のことをしてみてください。そう、これが、私がこの記事で一番言いたかったことです。

□ ANOTHER STORY

ケルトの笛 hatao

DAISUKE OGAWA|小川 大介

SHINGO KURONO

JARDIN DE MUGUET