大自然のエネルギーを受け ~復活の兆しを探る~

いよいよ待ちに待った酒米菊水稲刈りの日__。

車窓から、すでに稲刈りが終わった越後平野を眺めながら、新発田市にある菊水酒造に向かった。
前日の大雨で気温がぐっと下がったので、防寒対策をしてそのときを待つ。

まずは高澤社長から、コロナ禍のため中止されていたこの稲刈りイベントが実に2年ぶりに開催されることへの
喜びの言葉がかけられた。その後若月取締役から、稲架掛け(はさがけ)のレクチャーを受けた。
稲架掛けとは、地方によって呼び名が様々あるそうだが、新潟では“はさがけ”と呼び
稲を束ねて稲架(はさ)と呼ばれる木を組んだ装置に干していく作業のことを指す。

天日で2週間ほどかけて乾燥させるのだが、これを行うことでお米が追熟
無理のない乾燥方法のため米に負担がかからないメリットがある。
近年の機械化によりほとんど見なくなった光景であるが、多くの人がこうして集まり
皆で協力して作り上げていく稲架掛け作業自体が、風情であり情緒的でもある。

さて、いよいよ稲刈りのスタートである。

今回は、プロデューサーの更家健吾もプロジェクト初参加である。
大雨の影響が残り、田んぼはぬかるんで作業がやりにくい。足元を取られながらも、鎌で稲を刈っていく。
最初はぎこちない動作だが、徐々にスピーディーに刈り取ることができるようになった。

約2時間、菊水社員の皆さんと総勢30人ほどで、稲刈り作業に没頭し、無事終了した。
5月に田植えを体験したが、稲刈り作業は、その数倍重労働だと感じた。
泥ダイビングできるような気力は、稲刈り時では起きず・・(笑)

稲刈り後、晴れの合間を見て、稲架掛けした稲に、三味線を聴かせた。

今後は、史佳オリジナル酒の仕込みに入っていく。お米作り、酒仕込み・・すべてが初体験であるが
この体験は、米を磨くのと同時に、自分自身の感性を磨くことになると確信している。
そしてそれは、まちがいなく三味線演奏にも活きてくるはずである。
指先の爪に入り込んだ泥が、稲刈り作業の充実感を感じさせてくれた。

そのまま、新発田の城山温泉へ直行。泥と汗を洗い流した。
エフスペースに到着した夕方、急遽平野映像ディレクターも誘い、男三人で焚火をすることに。
車移動がなければ、菊水の辛口で熱燗を・・と言いたいところだが
今回はコーヒーを飲みながら語らう。

8月14日の奇跡のコンサートを終えて、早2カ月。
走り抜けた直後は火が消えたようで、まさに燃え尽き症候群の私だったが
目の前の焚火の炎を眺めながら、復活の兆しを探る
少しずつではあるが、すでに新しい炎(目標)は見えてきている。

稲刈りから焚火まで、丸一日大自然の強さにエネルギーをもらった最高の一日であった。

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