熊本の食を巡る 取材旅 vol.2

こんにちは。
発酵文化研究所です。

前回に引き続き、熊本の食をご紹介。
今回は「だご汁」と「馬肉」についてです。

③人生初の「だご汁」

今は、だご汁と聞いてもイメージできない方も多いかと思います。

私の幼少期、年に数度は食卓に上がった覚えがありますが、
どうしても受け入れられず、食べるのを拒否していました。

そして今回、意を決してチャレンジしてみたところ、
なんとも言えない食感に感動!思わず、おかわり!
そして、これまで食べなかったことへの後悔と反省しきりでした。

そこで、これは興味深いと「だご汁」の歴史を調べてみると、
始まりは不詳とされ、
いつの頃からか多忙な農家の食事として広まったようです。

小麦のタンパク質は腹持ちが良いだけでなく、
手軽に作れたことや栄養バランスの良さから、
近年に渡っても、愛され続けている郷土料理といえます。

人伝えに広まり、浸透した郷土料理だからこそ、
各地域や家庭の好みにより様々なだご汁が生まれ、
こうでなければいけないという決まりがないのもおもしろいところ。

ベースの出汁から味付け、
入れる具材やだんごも、それぞれ異なるので、
だご汁だけ巡っても飽きないのではと思いました。

小麦粉を練って寝かせて、ちぎって入れて。
お子様でも、手軽に作れるようなので、
粉から団子になる過程を楽しまれる家庭での食育にもおすすめです。

④思い出の「馬刺し」


幼い頃、熊本から送られてきていた馬肉。
地域の大人たちが嬉しそうに楽しそうに集まっていたのを覚えています。

そんな時、少しだけ食べさせてもらった馬刺し。
当時、生肉を食べるといった文化はなかったはずなのに、
なぜ生食できるのか、その歴史と共に知りたくなりました。

せっかくなので、馬肉の生産量日本一と言われる熊本で。

その歴史は所説あるとされていますが、
城好きの私としては、加藤清正公説を。

清正公は朝鮮出兵時での食糧難を乗り切るため、
止むを得ず軍馬を食し、
その美味しさと滋養強壮に気付いたとされています。

その後も、やはり軍馬の産地だった阿蘇地域で、
戦後の食糧難などを乗り切るために食べ始め、
それから以降、流通するようになり今に至っているようです。

また、こうしてお話を伺うなかで、
生食できる理由も知ることができました。

馬は、もともと牛や豚よりも体温が高く、
食中毒の原因となる細菌が繁殖しにくいということ、
それと併せて、徹底した衛生管理や、
冷凍流通による寄生虫対策が万全にされていることもあり、
安全で、おいしい馬刺しをいただけることを知りました。

そうした各セクションの方にも感謝です。

そして、おもしろいのが名前です。
一言で馬刺しと呼びますが、ロースやもも肉以外に、
ふたえご・・・バラ肉
コウネ・・・たてがみの舌の脂肪
ネッコ・・・大動脈
などと呼ばれる部位もあります。
いずれも、食感や味に個性がありとても楽しめます。

おすすめの食べ方としては、
たっぷりの薬味と一緒に、
九州の甘めの醤油でいただくのがベスト。
これに限ります!

最後に、お土産で購入する場合など、
注意していただきたいのが産地表示です。

・熊本で産まれ育った熊本産馬肉
・輸入した仔馬を熊本で育てた熊本馬肉
・カナダやフランスから輸入した馬肉

これらが一緒に並んでいることもあります。
熊本産だと思い、買って帰るとカナダ産だった!と、ならないよう、
ご自身で見分けられない場合はお店の方にご確認ください。

旅のまとめ

いつもは父の故郷でもある宮崎から始まり、
高千穂を抜け熊本に入ることが多かったのですが、
今回は、仕事ということもあり、
熊本駅からスタートし阿蘇、天草、熊本市内を3泊4日で巡る計画。

この計画が甘かったと思い知る結果になったのは言うまでもありません。

ただ、そんなことも気にならないくらい、
空も海も山も、全てが雄大で感動の連続。
自身の生活や環境を、改めて考えさせられる良い時間となりました。

最後になりましたが、
ご協力ご提供くださった方々に心から感謝申し上げます。

□ ANOTHER STORY

JARDIN DE MUGUET

YOSUKE KERA

松岡誠一(仏像文化財修復工房)

SHINGO KURONO