史佳SAKE PROJECT ー酒造り 洗米編-

日本酒とワインの違いとは?と聞かれたら、どう答える?

米から造られたお酒が日本酒で、ブドウから造られたお酒がワインと答えるのが模範解答であろう。
しかし、単に原料の違いだけでなく、製造、発酵過程に違いがある。

ブドウの場合は、すでにブドウ自体に多くの糖が含まれているため、
ワイン酵母によって、すぐにアルコール発酵が起こる。
それに対して、米自体には糖類をほとんど含まないため、まずは、米に含まれるデンプンを「糖化」させる必要がある。
その糖化のために「麹」を使い、デンプンをブドウ糖に分解する作業が必要なのである。
そして、そのブドウ糖を酵母が食べることによって、アルコールと香りが生まれるのである。
同じ醸造酒でありながら、日本酒とワインでは、原料以外にアルコール度数や風味の違いが生まれるのも、この発酵段階の違いが影響している。

日本酒造りの仕組みが少しわかったところで、史佳オリジナル酒の話をしよう。

11月14日、酒米菊水の洗米作業に参加した。
田植えから稲刈りまでずっと、三味線を聴かせた酒米菊水と久しぶりの対面である。

精米歩合40%になった酒米をよく観察すると、透き通っていてとても輝いていた。この磨き上げられた米を、水で洗う作業に入る。

まずは、プロによるデモンストレーションを観察する。
ストップウォッチを片手に秒単位で、洗米・浸漬を進める。いよいよ私の出番だ。

ネットに包まれた酒米を初めて水に投入する。
両手で、底から回すように米を洗っていく。米を水の中で踊らせる感覚だ。


既定時間になったら、洗米された米を引き上げ、別の容器の水に浸す。
そして、米の浸水状態を観察しながら、引き上げのタイミングを待つ。段々と透き通っていた米が白くなっていく。
合図と共に米を引き上げ、水が切れたらシートの上で広げていく。水を含んだ真っ白な米が、とにかく綺麗だった。

まだ11月ということもあり、水温はさほど低くなかったが、これが真冬となると厳しい作業になることが容易に想像できる。
米の表情を視つつ、秒単位でタイミングを見極めるとても繊細な作業は、まさに職人技である。
どの分野においても、“極める“ということは、こうした繊細な経験の蓄積であり、本当に奥が深いものだと実感した。

次は酒の本仕込みの段階に入り、いよいよ発酵段階での三味線を聴かせるタイミングがありそうである。乞うご期待。

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