今回はいつもと少し趣向を変えて、野鳥観察(ワタクシ的には鳥見)のお話をさせていただきます。
いよいよ夏本番、連日の猛暑の最中、羽毛をまとった野鳥たちがどんな表情を見せてくれるのでしょうか。もう考えただけで気の毒でしかないですね(笑)
先ず申し上げておきますが、野鳥には大きく分けて留鳥と渡り鳥に分けられ、更に渡り鳥には夏鳥と冬鳥に分けられます。留鳥とは、その場所で一年中生息している鳥のことをいい、渡り鳥とは、その場所に季節限定で渡って来て生息し、他の季節は他の地域に生息場所を移動する鳥のことをいいます。更に渡って来る季節が夏なのか冬なのかで、夏鳥、冬鳥が分けられるのです。
今回ご紹介する夏鳥は、ワタクシが生息…もとい、生活する神奈川県西部、それも人の生活圏に近い里山や田園が基準になりますので、ご承知おきください。
日常おなじみの野鳥が見せる感動とは?
さて、身の回りに生息する野鳥のうち、一年中見ることができる留鳥をご照会しておきましょう。カラス、スズメ、ハト、ヒヨドリ、ムクドリ、セキレイ、カモ、ウ、サギ、トビ、キジなどがこれに当たり、多少鳥のことを知っている人はシジュウカラ、ヤマガラ、エナガ、モズ、ホオジロ、カワセミ、チョウゲンボウ、コジュケイ、ガビチョウなどがこれに加わるでしょう。たぶん、日本中どこにでもいるありがたみのない鳥たちです。「何を言ってやがる。お前こそありがたみが無いぞ山笑海笑!」と鳥たちに怒られそうですが(笑)
当たり前な存在ゆえに日常の風景に溶け込んでしまうこれらの野鳥ですが、観察してみると個性的な表情を見せてくれます。
開花前のハスのつぼみに乗ったスズメです。盛夏が訪れようとするこの時期、上野不忍池などではよく見られる光景です。普段意識して見ることもないスズメがたまたまハスのつぼみに止まっただけで、微笑ましくなります。
メジロやヤマガラ、エナガたち小鳥たちは、外敵から身を守るため、混成群を形成して生活しています。ヤマガラの幼鳥の横に飛び込んできたメジロ。ヤマガラの驚くような表情が面白いですよね。
陽気な?ヤマガラは成鳥も見せてくれますよ。水場のヤマガラ。「燃え尽きたぜ…」そんなセリフが浮かんできたのはワタクシだけでしょうか(笑)
巣から離れたシジュウカラの幼鳥に親がイモムシを運んできました。幼鳥はまだ尾羽も成長していないので飛べません。この後、無事に成長していけるのだろうか…いつまでも見守っていたくなりましたが、餌を運んでくる親が迷惑そうに鳴くので、お節介おじさんはその場を去ることにしました。
里山で出会ったホオジロ。何かくわえているので、よくよく見てみるとイナゴのようでした。それも2匹。小さな野鳥に流れる貪欲な恐竜の血脈を感じる場面でした。
田園地帯の砂利道を散歩していたら茂みの中からキジが登場しました。実は彼女も同伴でしたよ(笑)カメラを向けたら周囲に生える雑草、ハルジオンの花がボケて、なかなか良い演出をしてくれました♬
暑い季節こそ、ケンタッキー(夏鳥)にしない?!
くだらない冗談はともかくとしまして、お次は渡り鳥(夏鳥)です。渡り鳥を更に細分化すると、海を越えて外国と日本を行き来するもの。日本の中でも夏は冷涼な北国、冬は温暖な南国を行き来するもの。夏は冷涼な高山帯に生息し、冬は温暖な平地や山麓で生息するものがおります。従って、比較的温暖な神奈川県西部は、冬高夏低ということになります。
大磯丘陵の里山ではキビタキが鳴いています。「ピュリピッポリピッポリ…」オスは黄色い姿がとっても目を引くのですが、林内にいるので、鳴き声はすれどもなかなかお目にかかることはありません。それでも森の中を通じる道や沢沿いの道を散策していたりすると出会うことがあります。子育ての季節、かわいらしい幼鳥の姿を目にすることもあります。(2枚目)
サンコウチョウという鳥の名を知る人はそう多くはないと思います。漢字に書くと「三光鳥」となりますが、これはサンコウチョウの「ツキヒホシホイホイホイ…」という鳴き声に由来します。「月日星」という三つの光を鳴くわけです。
初夏に南から渡って来て、沢沿いの暗い樹林帯で繁殖します。繁殖期のオスは長い2本の飾り羽が特徴ですが、子育てが終わって南方に渡る頃には落ちてしまいます。重く長い飾り羽は長距離飛行には邪魔なのでしょうね。
日本で最初に海水浴場が開設された場所として有名な大磯の照ヶ崎海岸。最近では、丹沢など山地に生息するアオバトが塩水を飲みに来る場所としても全国的に有名です。大磯駅からも楽に歩ける場所なので、休日の涼しい早朝には多くのウォッチャーが訪れています。
丹沢を歩いていると「ポーアーオーアーオアオ」とオカリナの音色のようなアオバトの鳴き声を聞くことができますが、たいてい高い木の茂みの中にいるので、山ではめったに姿を見ることはありません。
平坦な相模平野の中にあって、大磯や二宮付近は丹沢から丘陵地が海岸まで迫り出しています。丹沢に暮らすアオバトたちは、丘陵の森を伝って、大磯の海まで塩分補給にやってくるのでしょう。高血圧予備軍のワタクシには少々危険な話題でした(笑)
(かわいい三つ子)(左が親鳥、中、右は幼鳥)
野山の青葉が色濃くなる初夏、東南アジアなど遥か南方からアオバズクが繁殖のために日本に飛来します。アオバズクはハトよりひと回り大きいくらいのフクロウ・ミミズクの仲間で、夜間に活動しカブトムシなど大型の昆虫を捕食します。
神社の杜など比較的身近な場所の大樹のうろなどに営巣するので、窓を開けて夜の森に耳を傾けると、「ホッホーホッホー」とフクロウらしい鳴き声を耳にすることがあります。
梅雨明けの頃、孵化した幼鳥がうろの巣から出てくると、しばらくは親鳥と共に枝に止まるので、親子の愛らしい姿を観察することができます。
そしてお盆の頃、ひな鳥が飛び立てるようになると神社の杜から姿を消してしまいますが、近くの野山で親鳥の庇護の下、体力をつけて秋口に南方へ渡っていきます。アオバズクは、遥か数千kmを行き来する渡り鳥ですが、毎年同じ木に営巣する本能には驚くばかりです。
昔から四季折々の自然の風景を感じることを「花鳥風月」といいますが、野鳥の行動からも四季の移ろいを感じられるようになりました。別の季節の野鳥も追々ご紹介していきたいと思います。
今回もご笑覧いただきまして、ありがとうございました。