マンデリン

雨が降った日は、朝から教室の蛍光灯が点いていた。
普段と違う全体的に明るいその感じと、雨降りの外から濡れた靴下でペタペタと歩き、教室に着いた安堵感とで、少しほっとした。

今日打ち合わせの帰りに、いつも立ち寄るカフェに入った時、いつもより少し明るい照明に、そういう頭にこびりついた景色を思い出した。

深煎りのマンデリンがいい具合だ。

「黒野さんがきっといいの作ってくれるので、お任せします。」

と、今日の打ち合わせの言葉が脳裏をよぎる。

お任せします。
重い一言だ。それでもそう言ってもらえることはとてもありがたいし、俄然やる気になる。見せたときの笑顔を思い浮かべながら、想像以上のことをしてやろうと思う。

僕にとっての仕事はプレゼントを作るみたいなことでありたいと思った。
箱どんなにするか、包み紙を何色にするか。こっそり忍ばせる手紙にはどんなことをどんなペンで書くか。

想像してみよう。

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