誰でも最初は1年生

『あなたがマホですか?』
と愛想の良さそうなキラキラした目の知らない男性に声をかけられた。

キリスト教の多いポルトガルではおなじみのクリスマスプレゼント交換がある。

あらかじめ1ヶ月前にくじを引きくじに書いてある人物に向けて決まった予算のクリスマスプレゼントを選ぶ。

私が引いたのはポルトガル歴13年のBOSSの奥さんで日本食レストランのオーナーシェフでもある彼女に何を送ったら良いか悩んでいた。

気の利いたお店はよく知っているはずだし、それ以外のいい店をポルトガル歴4ヶ月の私には知るはずもなかった。

せっかくなのでポルトガルのものでクラフトのものがいいなと思っていた時に思い出したのが、以前友人から教えてもらったMargarida Fabiricaというセラミック作家さんだった。
友人と行ったのコーヒー屋さんがその作家さんのマグを使っていた。
紅茶用のマグで縁の両端に溝がありそこにティーバッグ垂らした竹串のような棒を溝に引っ掛けるようになっている。
そんなちょっとした演出が心に残っていた。

プレゼントの渡すのは日曜日、木曜日の夜にどうしてもその人のものが欲しくなり調べてみると日曜にダウンタウンで展示会があるが日曜日はどうしても行けないし、どこかに卸しているだろうと思い切って問い合わせしてみた。

次の日“土曜はアトリエにいるからアトリエに来て”と返事が来ていた。

この時に私の拙い英語での問い合わせに何度も丁寧な対応をしてくれていたのできっと素敵な人だろうと感じていた。
日曜日の展示会で忙しそうな時に申し訳ないなと思いつつドキドキしながらアトリエまで向かった。

アトリエはLXファクトリーという3年程前にできたLISBONのホットスポットだ。
少しダウンタウンから離れた場所だけど使わなくなった古い工場をお店や事務所やアーティストのアトリエとして
リノベーションした名所になっている。

広い敷地内でどこだろうとグルグル迷っている時に声をかけてくれたのがAndreというMargaridaのパートナーだった。

『あなたがマホですか?迷ってると思って探しに来たよ』

まだ会ったことのない謎の日本人へのアポにもかかわらず外まで迎えにきてもらい、わたしは感動しつつアトリエまで案内してもらった。
古いビルの3階に隠し扉のような壁をグルッと押し開けるとたくさんの光が差し込んだ部屋に綺麗な女性がOlaと迎え入れてくれた。

透明感のある肌にブロンドのボブヘアーでとてもナチュラルな女性だった。
迎えに来てくれた旦那さんのAndreと2人で作っているようだ

部屋の真ん中には明日販売するであろう皿や花瓶が並んでいる。
シンプルさの中に遊びが効いたモノや絶妙な色加減とクラフト感のある形、たまに絵が入ったり刻印や模様があったりそんな作品に囲まれて胸いっぱいになってしまった。

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彼女は3年前に日本に1ヶ月旅をしに来たことがあるらしくとても日本が好きなようで親しげに話してくれた。
途中Andreのご両親がクリスマスケーキを作って訪れ差し入れのおすそ分けまでいただきほっこりせずにはいられない。

プレゼントには1つ1つ顔が違ったスペシャル感が気に入ったお猿の顔が彫ってある白いお猪口を2つ買った。
滞在中は贅沢なんてできなく自分のものなんてほとんど買わないのだがどうしても欲しくて小さいカップと小皿を3つ購入した。

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こんなに丁寧に対応してもらってちょっとしか購入できないことに申し訳なさを感じながらも
Margarita は綺麗にラッピングしてれて外まで送ってくれた。

後日丁寧にメールまでくれて日本人の知り合いを紹介してくれるということになった。

これが彼女の普段なのだろう。
きっと私が丁寧にありがとうと思っていることなんて特別なことではなくてそれが彼女なんだと思いとてもファンにはならずにはいられない人だった。

ぜひ見ていただきたい

http://margaridamf.com/

小学校に上がる前に歌ったあの歌がしっくりハマるここ最近。

丁寧生きるということの大切さに気づくリスボン1年生。

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