オトコとオンナ/murmur

「なにしてんの、それオトコに言ったら真逆に捉えるよ、アウトなやつ」
「え?」

「そんなこと言ったの?それはオンナが怒るのも無理ないわ、謝ったほうがいいよ」
「え?」

そんな会話が耳に入ってきた。

良いと思って口にした言葉が逆の意味で伝わり相手の口がへの字になって、
それを感じた言い手にはハテナマークが点滅する。
例えばそれがオトコとオンナ。同じ日本語なのに通じない時がある。
それは時に火花までもあげる。
誰しも踏んだことのある地雷ではなかろうか。

もし、そんな男女のなんとも言い難い特性を神様がヒトの心のシステムにセットしたんだったら、
「神様さん、あなたってお方はなんてドSなユーモアをお持ちのお方なのでしょう」と言ってやりたい。いや、お伝えしたい。

「いやー雅子君、まだまだ青いね、ヒトの深みがわかってないね」と笑われるんだろう、きっと。

このオトコとオンナのサムシング。地図が読めるとか回すとか。

このややこしすぎる、いや、興味深い違いを、「んー実に深くていい味だねー」となんてボヤける日は来るのだろうか。
いつかブラックコーヒーや日本酒を美味しいと思えるようになった時が来たように。

そんなときなんて永遠にこないかもしれないけど、
理解し尽くさないことも面白さなのかも。

あーでもないこーでもないって言いながら、結局最後にはキュンとして笑いあってるじゃんね。
混ざらなくても、一緒になると綺麗に見える水と油のような。

そんな会話をBGMに仕事を片付けながら、
ヒトって実におもしろく楽しく作られたもんだなー
神様って超遊び心があるひとなんだろうなー、
なんてどうでもいいことをふと浮かべ、
冷えたブラックコーヒーを飲み干し、店を出た。

目の前を素敵な老夫婦が手を繋いでゆっくり歩いていた。
会話はないけど嬉しそうな空気が伝染する。
なるほどね。オトコとオンナ。ちょっとわかった気がした。
なんでもうまーくできているもんだ。

そういえば、コーヒー、いつから好きになったんだったけ。
まいっか。

To be happy with a man you must understand him a lot and love him a little. To be happy with a woman you must love her a lot and not try to understand her at all.

- Helen Rowland -

Haha,right.

Masako.


 

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