そう、それは僕の手をするりと抜け落ちていった。
いつもそうだった。
気づいた時にはもう遅いのだ。
ああすればよかった、こうしておけば何も問題なかった。
そんな風に思っても、時間は元には戻らない。
そして、そこで失われてしまった何かも、決して元どおりに戻ることはないのだ。
もう一度、この手でそれを掴みたいと、どれだけ願ったところで、もう二度と、掴むことはできない。
そこには単純に流れた時間があり、起きてしまった事象がある。
そう、ただ、それだけのこと。
iPhoneのカメラのレンズが割れた。
雨上がりの路上に落ちた。防水で本当に良かった。
おかげで綺麗な光の筋が入るようになりました。
Shingo Kurono