高校生の時に、僕は野球部に所属していて、恐ろしい体育教官室の隣にあるジムスペースで筋トレしたり、くっちゃべったりしていた。
そんな時に、野球部ではないのだが、いつもそこで一人黙々と筋トレに励むKくんという同級生がいた。
お互い東京に出て来て、(といっても彼は高校卒業後すぐに上京して、僕はそれに遅れること5,6年してから上京した。)高校の同級生で集まる時にはよく飲んだ。
そんな彼がいわゆる大企業をやめて、美容関係の会社を起こした。
渋谷の宮下公園の向かいの2階にカフェで、明治通りを行き交う車や、冬服に身を包んだ早歩きの人々と、宮下公園でガラスに自分たちの姿を映しながらダンスの練習をしている人々を、ガラス越しに眺めながら作業をしていた時に、テーブルに置いた(カメラのレンズは割れたままの)iPhoneがブブッとなった。
「今日でうちの会社も3歳になりました。色々とサポートありがとう!」
とKくんからのラインだった。
今日はバレンタインデーだった。会社の設立の日をバレンタインデーにするあたり、彼らしいなぁと思う。
今ではいろんな事業をしている彼の会社の、それぞれのロゴマークを製作させていただいていて、自分の中でも、シンプルで、強いものができた気がしていて、気に入っているし、Kくんは僕のデザインを本当に尊重してくれて、大事にしてくれている。(と、思っています。)
大事にしてもらえるロゴは幸せだ。そして僕も幸せだ。
同級生たちは、みんなそれぞれの分野で活躍していて、ちゃんと家庭をもったり、ずっとフラフラしていたりで様々なのだが、それを遠目に見たり、たまには飲みにいったり、音信不通の彼の仕事をふと目にしたり、書いた小説をよんだり、どこかで僕はそういうみんなをビビビッと感じて、いや、ビッと感じて、自分も負けないように頑張ろう、と思う。
30代、きっとこれからもっともっと面白くなっていく。面白くしていく。