フライト待ち

ロンドンのマーケットであるスカートに一目惚れをした。

国は忘れてしまったが、自分で縫った洋服を売っていたマダムは、私の片言英語をゆっくりゆっくり聞いてくれて、きっと似合うとこれを差し出してくれた。アフリカ独特の生地で縫われた一着。初めてみた柄と形。
これだ!とすごく嬉しかったのを今でも鮮明に覚えている。私の国の生地よと彼女は言った。
これがアフリカとの出会いだったと思う。

北海道や沖縄、キューバにアイスランドにポルトガルにスペイン。
行きたい場所はいっぱいあったのにいろんなことをムヤムヤ考え出し、別にどこも行く必要ないじゃんと思っていた。
でもあーだこーだ言う私に、周りのみんなは行ってきなよと言ってくれ、外に出てくればと最終的に私の背中を押したのは母だった。

そして先週日曜日の電話で決めた今回の旅。
行き先は一番ないと思っていた選択肢。
親友が住む地とはいえ行こうとも思ってなかった何故そこに決めたのか、もはやわからない。
直感なのか。
注射にビザに、この旅が決まっていたかのように幸運にも信じられないスピードでスルスルと進んだ。
道は開かれましたねといつものようにサラッと親友は言った。
行ってくるよと報告した友だちはわざわざ電気屋巡りにに付き合ってくれた。ありがとう。
母は行き先の名称をさすがに二度聞きした。
そりゃそうだ。
でも一番びっくりしていたのは私自身だろう。

久しぶりに大切にしているあのスカートを出してみた。
アフリカはとても美しいところだよとあの時マダムが言ってくれたのを思い出した。

ひとりだけ、君の全ての感じ方、考え方が変わってしまうかもしれないよ?それでも行くの?と言った。私のことを良く良く知ってくれていてそこを仕事で訪れたことがある友人だ。
彼がそう言ってくれる意味はとてもよく理解できたけれど、そんな時が来るのを待っていたような気もする。

きっと起こる全てのことに意味はあって、行くことにしたこと、この選択肢になった答え、きっと行けば分かるのだろう。
そこに行けることも一生に一回だと思うと感慨深いような。
いつかロンドンであのマダムに感想を伝えよう。その時はあのスカートをはいていこうかな。なんて伝えられるだろう。少しは会話が上手になったと言ってくれるだろうか。

まだそこに着いてもいないのに
何かが変わるような。
そんな気持ちでフライトを待っている。

なんだかパリに経ったあの日の感覚に似ている。

一本目のフライトはNYへのダイレクトフライトより長い。黄熱病の予防接種の有効開始は今日。どうなるやら。
「いい旅を。アフリカは来る者を拒まず。キスムでお待ちしてます。」と親友からメッセージが入る。
お腹も減らなかった不安は通り越した。
もうなるようになれだ。
まず待ち合わせ場所まで到着が目標だ。

親友の枝毛カットにケニアまで。
ではでは。

I will have a once-in-a-lifetime experience there.
Fly to Kisumu in Kenya.

Masako.

 

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Fumiyoshi