Tsutomu Sato

スポーツイベントプロデュサー /「楽しい場所をつくりたい」と想い続け5千人を盛り上げるショーから1万人集まるイベントを企画運営しています / スポーツビジネスコミュニティ #SAC 運営中 / 山梨・東京で2社経営 / 企画やプランニングでご飯を食べてます / Twitter:@2tomman

スポーツ空間にも求められる「テーマパーク志向」

■ 試合の前後も含めて楽しんでもらおうとする流れが起きている

日本のスポーツビジネスの現場にて、観客に対して「競技」だけを見せる空間を提供することではなく、試合の観戦者を、試合の前後も含めて楽しんでもらおうとする流れが起きてきています。

つまり、試合会場がそのスポーツを主役とした空間設計をする。言い換えますと「テーマパーク化」する流れが起きているのです。

この話を掘り下げる前に、前提として「テーマパーク」とは何なのか?について説明します。

「テーマパーク」とは何か。比較する上で「遊園地」とテーマパークの違いに触れてみます。

テーマパークというフレーズは、実は日本人が生み出したフレーズで、東京ディズニーランド創設に携わった総合プロデューサーである堀貞一郎氏が考案したフレーズです。

まずこの日本において代表的なテーマパークとは前述した堀貞一郎氏がプロデュースにも関わり、皆さんもよくご存知の東京ディズニーランド、そして大阪にあるユニバーサルスタジオ(以下:USJ)このあたりですね。

■ テーマパークというのはその名前の通り、テーマに沿ったパークのこと。

テーマに沿ったパークというのは何らかのコンセプトそしてテーマがありそのテーマに即した空間を用意している場所がテーマ(に沿った)パークです。

では遊園地と言われるところはどういう場所なのか。遊園地の敷地があり、そこにいくつかのアトラクションがあったり、ヒーローショー的なコンテンツがあったり、芸能人が訪れてくるようなステージがあったりする。

全体のテーマというよりは、敷地の中にアトラクションやコンテンツが揃っている場所が遊園地。つまり「テーマパーク」と「遊園地」の違いとは、その空間の「世界観の作り込みの差」であるといえます。

まとめると、テーマパークとして代表的な東京ディズニーランドやディズニーシー、USJ に関してはそれぞれテーマとそのテーマに即した世界観というものが存在していると思います。
この「テーマパーク」と「遊園地」をスポーツの会場に当てはめてみると、これまでのスポーツの行われる試合会場は、遊園地型が多い。つまり試合(競技)以外のものには、さほど気が配られていない空間が多いです。

■2023年の開業に向けた北海道ボールパークプロジェクト

そんな中・・・こちらは、北海道日本ハムファイターズが新たに造成予定のスタジアムのイメージ。


(imege by 北海道日本ハムファイターズ


(imege by 北海道日本ハムファイターズ

造成する予定のスタジアムのコンセプトムービーがこちら。

 

こうした流れの口火を切ったのは、横浜DeNAベイスターズが実施したことでしょう。IT関連企業であるDeNAが球団を買収し、2012年シーズンから様々なアイディアを打ち出すなどして従来型の野球場の雰囲気を一新し、人気を獲得しはじめたのです。

そして、スタジアムを軸に、野球をテーマとするパーク、スタジアムごとボールパークとするテーマパークにする流れが進みはじめたのです。

■横浜DeNAベイスターズが発表したボールパーク構想

 

北海道日本ハムファイターズの北海道ボールパーク構想、横浜DeNAベイスターズのコミュニティボールパーク構想も、テーマに即したような空間設計・世界観の演出となっていくでしょう。

横浜DeNAベイスターズの今の人気の様子を見ると、今後は、他の球場や、アリーナなどの試合会場も、テーマパーク化が進んでいくと考えられます。

観客は、試合会場にてその試合だけを見るのか、それとも、球場に来たらテーマパークと同じように過ごす時間全てがその世界観の中で味わえるのか、では、圧倒的に後者の方が体験価値が高いのです。スポーツ会場が、まさにエンターテイメントの空間になっていく。

スポーツビジネスがよりエンターテイメント化して、スポーツエンターテイメントビジネスになっていく未来があると思います。

私が企画し主催している大会やイベントに関しましても出来る限りテーマやコンセプトに沿っていかに空間世界観を創出できるのかということを非常に大切に考えています。

■ 会場のテーマパーク化は、どんな会場でもできるのか?

この話をすると、どんな会場もテーマパーク化できるか?という疑問が湧いてくると思いますが、正直、それは難しいと言わざるをえません。

というのも、試合会場は、そもそも行政の施設を利用していて手を加えにくかったり、そのスタジアムやアリーナの創設期に、そうした空間設計や世界観の作り込みを念頭に入れていない場所だったため、世界観がつくりきれない、などの様々な課題があります。そして、そうした空間づくりには、多額の予算が必要です。

先に挙げた例の遊園地とテーマーパークですが、ざっくりと、その施設の造成予算だけで考えても10倍近くの予算の違いがあるのではないでしょうか。

■ スポーツ会場の世界観づくりは、予算的に難しい場合が多い。

では、どうしたら良いのかの一つの解ですが、私が関わるイベントの場合、そうした施設いわゆるファシリティ(施設)に、空間設計がある程度依存することが前提なので、大切なのは場所選びです。

最初の場所選びからそのコンセプトがどこであれば実現に至るのか。いかにテーマを崩さずにしてそういう狙った空間設計ができるのか。そうしたことがとても大切な視点であると考えています。

そこの場所を拠点とするスポーツチームの場合は、その会場から離れることは難しいので、北海道日本ハムファイターズのように、そのエリア内に球場を造ろうという話が出てきたりするのです。

自力でアリーナやスタジアムを造成することは、超特異な例で、実現には高いハードルがありますが、前述した横浜DeNAベイスターズのように、従来型の野球場の雰囲気を一新し、人気を獲得しはじめた例のように、従来の施設でありながらも、世界観をつくりこむ例があります。

大切なのは、まずはその考え方。つまり「テーマパーク志向」です。

いかにして多額の予算をかけずに、スポーツ空間を、試合観戦以外も楽しめる空間にしていくのか?が求められていくでしょう。