ゆっけ

「きものシェアクローゼット&サロン 水端」店主。企画会社、老舗呉服店を経て水端をオープン。洋装mix、ユニセックスきものなどルールにとらわれないスタイリングを得意とする。 今の暮らしに馴染む、普段のお出かけをもっと楽しくするきものの魅力を発信します。

おうちで楽しむきもの、広がってます

前回の記事ではきもののネットショッピングについてご紹介しましたが、「せっかく買っても今は着てお出掛けができないし…」と思われた方がいらっしゃるかも知れません。実は今、これまでにはなかった方法で外出せずにおうちできものを楽しむ人が増えているんです。

 

家で着るだけの「おうち着物」がアツい

気軽に外出できない今だからこそ愛好する人が増えているのが、ただ家の中できものを着ることを楽しむ「おうち着物」。

木綿やデニムなど気軽なきものをゆるっと着付けた部屋着感覚の着こなしから、本来お出掛けで着る予定だったお気に入りの着物やここぞという時のために温めていた特別な一着に袖を通してみたという気合いの入ったコーディネート、はたまたテレワーク用にとシャツの上に羽織を羽織った粋な着こなしなど様々。

その画像を「#おうち着物」のハッシュタグを添えてSNSに投稿する人が増えています。検索するといろいろなコーディネートを画像で見ることができ、見ているだけでも楽しい気分になります。着付け練習のためという人も多く、着付けを覚えたてで外出にはまだ自信がないという方にうってつけなのは頷けます。

ちなみに私自身も、このハッシュタグは以前から使用しており、私の場合はリラックスモードだったり作業用に力仕事もできるコーディネートが多いです。写真1枚目は木綿の着物と半幅帯の中にパーカーを着てたすき掛けした洋装MIXスタイル。長襦袢は着ず、衿芯も入れていないので上半身はかなり自由です。

2枚目は、そのままお出掛けできるコーディネートではありますが、素足なのがポイント。これは6月の浴衣シーズンに入る前の時期でその証拠に春物の長襦袢を着ていますが、家で過ごすのに蒸し暑い足袋は脱ぎ捨てているんですね。笑

 

オンラインレッスンやライブ配信を始める人が続々

着付け講師やクリエイターのなかには、ネットを活用して新しい試みを始める人が増えています。動画やZOOMでの着付けレッスン、ネット上で質問が送れるお悩み相談。インスタライブの活用も多く、例えばきものディレクター・ブロガーのCHOKOさんや着付け講師・きものプロデューサーのモリタマミさん、リサイクル着物店「うさぎ小町」店主のうさこまさんなど人気講師たちがトークセッションを配信するなど、ネットの活用は一気に増えました。

なかでもユニークなサービスは、男着物&メンズ浴衣専門店「藤木屋」さんのオンライン接客。オンラインショップから予約をし、画面越しに店舗スタッフからきものの購入の手引きをしてもらえるというもの。ネットショップの情報だけで自分に合うきものを選べるか不安…というお悩みを解決してくれるサービスです。

愛好家同士でもZOOMを活用してきものでお茶会や飲み会を開催している人も少なくありません。直接会えなくても画面越しにお互いのコーディネートについてなど盛り上がっているよう。「天気を気にせず好きなきものを着られる」などオンラインならではのメリットもあるようですよ。

 

きもののメンテナンスのチャンス!

私のおすすめは、お手持ちのきもののメンテナンス。普段なかなかできないことをやるチャンスです。

例えば虫干し。虫干しの時期は梅雨明けや秋ぐちがいいという人もいますが、春先のからりと乾燥している日もぴったりです。晴れて湿気の少ない日の日中、数時間ハンガーに吊るして湿気取りをします。こうすることで箪笥のなかの籠った空気が入れ替わってシミやカビを防ぐことができます。たくさん干すのが難しい場合は、箪笥の抽斗を開けておいたりたとう紙を開いておくだけでも効果的。

虫干しのいいところは、ついでにシミ・カビ・シワなどがないかメンテナンスができたり箪笥の奥に忘れられているきものに気付けるところ。お出掛けができるようになった頃に着たいものを思い浮かべながらお手入れしてあげましょう。

また「簡単きものデコでオリジナルきもの楽しもう」の記事でご紹介したきものデコや半衿の付け替えなど、針仕事の時間をつくってみるのもおすすめ。直前にバタバタしがちな半衿のコーディネートをじっくり考えるいいチャンスです。

photo by Yuji Otsubo

 

きもの=お出掛け という風に考えがちですが、「おうちにいながら楽しめる方法」はたくさんあります。Stay Homeな今ならではの楽しみ方でお出掛けできる日を待ちましょう!