「ありがとうね!」
「頑張ってね!」
クーラーの効きすぎた居酒屋を出て、同じように渋谷駅に走って向かえばいいところを背中を見送ることにした。
行くひとよりも見送る側のが切ないもんだよ、と昔誰かに言われた台詞が聞こえた。
いろんなもんを(たぶん背負わなくてもいいようなものまで勝手に全部)背負って、旅立とうとしている背中はとても頼もしくて、うらやましくて、輝いてみえた。
きっと僕たちは、そんな背中にさらに自分の想いを勝手に、断りもなく、のっけて、思い出とか、夢とか、そういうものを見ている、というか、見させてもらっているんだ。
Shingo Kurono