音楽家がレッスンで稼ぐ方法

お正月は缶詰仕事に最適です

 少し遅れましたが、新年おめでとうございます。ケルトの笛のhataoです。今年も音楽と起業をテーマに連載を続けてゆきますので、どうぞ応援よろしくおねがいします。

お正月はどのように過ごしていましたか? 仕事から開放されてオンとオフが切り替えられるって、精神的にもすごく良いことですね。

一方で、僕の年末年始は実家に帰って10日間ほど、休まず仕事・仕事の毎日です。実家では来客もありませんし、家事を親にお願いして、昨年の会計をまとめて作業したり、本の原稿を書いたりしてすごします。
集中して仕事をするのには、とてもよい時間なのです。

本を出版するのはビジネスの上でもとても大切なことですので、1年に1冊以上を目標に出版します。3月以降は忙しくなることが目に見えているので、この時期に書くのが習慣になっています。

音楽家がレッスンで稼ぐ方法


ケルトの笛レッスン、東京・名古屋・兵庫県・奈良県で受講できます!

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前回は音楽家が演奏によってどう収入を得ているのか、ということについてまとめました。今回は同じく音楽家の大事な収入源のひとつ、レッスンについて紹介します。

僕は会社員を辞める前のアルバイト時代から、自宅やパブで1時間1,000円か2,000円くらいの受講料を頂いて音楽を教えていました。ですので、レッスン歴は20年近く、教えた生徒さんは単発のレッスンも含めると数百人規模になります。レッスンを通じて人と出会うことも大好きで、演奏にお店の経営にと忙しい今でも、レッスンを続けています。

自由な音楽教室の世界

楽器はできるけれど、レッスンはどうやって始めたらいいの? そんな方も多いでしょう。

ピアノやヴァイオリンなど「一般的な楽器」であれば、ヤマハやカワイの教室で教えるための資格制度があるとか、音楽教室が音大卒業以上の学歴がないと雇用しないとか、生徒が集まらないと言った条件があることがあります。

しかし音楽教室に教員免許のような国家資格はありませんし、お金を取るかどうかを別にしても教える・教わるのは自由です。また、受講料を取って教えるとしても税務署への開業届も必要はありません。開業届は納税の際に必要になることがありますが、音楽教室を始める条件ではありません。極端に言えば提供するサービスと金額において需要と供給がマッチすれば取引が成立します。

そもそも音楽にはプロとアマチュアの明確な線引きはありません。つまり、仮に先生のレベルが客観的に見てとても低くても、先生に人気があるとか、音楽教室が存在しない僻地だとか、いろいろな理由があれ生徒が集まれば音楽教室を始めることができます。外野は「音大も出ていないくせに」とか、「演奏技術が低いくせに」などと言うかもしれませんが、生徒が納得してお金を払っているのであれば、倫理上・法律上は何一つ問題ありません。

また、そこには年齢も学歴も関係ありません。飲食店を開業するには保健所や税務署に届けなくてはいけませんし、床屋をするなら理容師の資格が必要です。一方で音楽教室は未成年でも、定年退職後のおじいちゃんでも、誰でも、いつでも、どこでも始められます。とても自由ではありませんか?

自宅で教えることのメリット

僕が会社員を辞めたての頃は、自宅で教えていました。これが一番シンプルで、簡単な方法です。メリットは数多くあります。

・通勤が必要ない

生徒さんに来てもらうので、通勤時間や交通費といったコストを負担する必要がありません。

・場所代が必要ない

貸しスタジオであれば1時間1,000円程度、音楽教室であれば受講料の半額程度を場所代として提供しなくてはいけませんが、自宅であれば受講料は(消費税や所得税を引いて)すべて自分の収入になります。

・キャンセルによる損害がない

音楽教室であれば、キャンセルが入ると待ち時間が発生したり、自分で予約したスタジオであればその時間分のスタジオ料金を負担しなくてはいけなかったりします。

・待ち時間がない

音楽教室であれば、教室のやりくりの都合上、待ち時間が生じることもあります。

・楽器や設備が揃っている

普段自分が練習をしている空間ですから、ピアノや譜面台やCDプレーヤーなどの設備が揃っており、よい環境で教えることができます。

・家事との掛け持ちができる

主婦の方や、自宅に養育や介護が必要なご家族がいる方は、自宅で仕事ができるので、家事のスキマ時間をつかって教えたり、レッスンのスキマ時間で家事をこなしたりすることもできます。

このように、自宅レッスンはお金のない駆け出し音楽家にはリスクがゼロの稼ぎ方なのですが、一方で女性の一人暮らしであれば防犯上のリスクがあったり、頻繁に来客があると駐車場や騒音でご近所の理解が必要だったり、といったことも考慮しなくてはいけません。そのため、自宅で教えてある程度の人気が出ると、他の先生と共同で教室用のマンションを借りて、仕事部屋にする、ということも検討したほうがよいでしょう。

音楽教室で教える

こうしてレッスンを始めてすこし経った頃、大阪のカルチャーセンターから講師のお誘いがありました。それまで、カルチャーセンターの講師はその分野で活躍している実績のある人しか務まらないものだと思っていたので、何の肩書もなかった僕は、とても名誉のあることだと思い引き受けました。

カルチャーセンターのメリットは、なんといっても経営母体に知名度があり、実績になるということです。NHKや読売新聞や産経新聞などマスコミ系の運営するカルチャーセンターは一定の信用力があるのでプロフィールに書くことができますし、世間への通りも良いです。

また、集客力が強いことも頼りになります。
駆け出しの音楽家は知名度・実力ともに低い場合が多く、熱心なファンや友達を除いては生徒さんが集まりにくいものですが、カルチャーセンターは新聞の折込広告などで強力に宣伝してくれます。その分、新聞の購読層である高齢者の申し込みが多くなる傾向はありますが……。

また、教室の環境も広く清潔で静かで設備が整っていて、先生・生徒の双方にとって良い環境であることも魅力的です。

デメリットは、まずは高い手数料です。先程も述べたとおり、半分くらいは持っていかれます。僕の場合は90分のグループレッスンで1人2,500円の受講料のうち1,000円をいただいていました(手数料は60%)。また、交通費は自腹でした。そのため、受講生が少ないと、通勤に時間とお金がかかる上に全然稼ぐことができず、自宅で個人レッスンをしていたほうがマシ……ということにもなりかねません。

もう一つのデメリットは、時間の自由がないことです。自宅教室であれば生徒さんと相談しながらレッスンの予約を入れてもらいますが、カルチャーセンターは毎月第何何曜日というふうに決められており、原則的に変更ができません。そのためコンサートの出演依頼を泣く泣く断ることも多かったです。

僕は特殊な楽器なのでヤマハやカワイなどで教えた経験はありませんが、きっと同じような感じではないかと推測します。カルチャーセンターのレッスンはつい最近まで10年以上続けており、一番忙しいときは京都から名古屋に通ってもいましたが、こういったデメリットの負担が重く感じられるようになり、一切やめてしまいました。

レッスンの話、さらに続けます

僕の知る限り、ポップスやロックなどメインストリームの歌手を除けば、ほぼすべての音楽家が多かれ少なかれレッスンで収入を得ています。ふつう生徒さんは毎週とか毎月というように定期的に受講しますから、予測のつかない演奏収入と異なり、「手堅い」収入源であることは間違いありません。

主婦や会社員の手軽な副業としても良い方法だと思います。

今日はここまで。レッスン・ビジネスについて、次回も続きます。

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