こんにちは! ケルト音楽専門の楽器店を経営している、音楽家のhataoです。
経営者は副業で本業は音楽家だと自認している私ですが、コロナ禍で音楽の仕事が少なくなり、最近は和歌山県の秘境の家と兵庫県の自宅の二拠点生活となっています。
今年は果物が豊作! 先日は青梅を100kgほど収穫しました。人にたくさん配った上で 、5kgのジャムを煮て50kgの梅干しを漬けました。梅干しができたら、これからコンサートでお客さんに配ろうと思っています。
さて、今回は中小企業のSNSの活用についてお話します。
経営者やスタッフが個性を発揮する時代
SNSについてはご存知かと思いますが、Twitter、Facebook、Instagramなどの交流サービスです。すでに10年以上の歴史があり、個人や企業を問わず広く活用されています。
SNSが登場するまで、消費者が企業経営者の素顔を知る機会は多くはありませんでした。しかし今ではカリスマ経営者や起業家がSNSを利用して積極的に意見を発表することが当たり前となっています。
SNSを活用する企業といえば、前澤友作社長や孫正義社長のような個性的な経営者が目立ちますが、シャープ株式会社や株式会社タニタといったユルくて面白いTwitterアカウントのように、組織の「中の人」が商品以外の話題を提供したりユーザーと積極的に交流することで大人気になった成功事例もあります。
私が最近ハマってしまったのは愛知県豊橋市の園芸店店長のYouTube番組と、和歌山県の梅農家の若社長のYouTube番組です。私は園芸や料理が趣味なのです が、それぞれお仕事について親しみやすく楽しそうに話しをしてくれるので、 いつの間にかファンになり更新が楽しみになってしまいました。いつか機会を作ってお店を訪ねたり、商品を購入してみたいと思っています。
SNSの発信力が経営を左右する
SNSの利用において私が注目しているのは、その拡散力です。
コロナ禍ではこれまで想定できなかった事態が発生しており、そのためSNSの新しい使い方が見られるようになりました。
「予約キャンセルがあり食材が大量に余ってしまった」という居酒屋のツイートが拡散されてすぐに予約が埋まったり、「成人式が中止になった新成人のために無料で晴れ着を撮影します」という写真館のツイートが拡散されて多くの人に喜ばれたりと、困った人や困っている人を助ける人のツイートは多くの共感を呼び、すぐに拡散します。コロナ禍によって誰もがトラブルや困難に見舞われる恐れがある時代だからこそ、お互いを思いやり助け合おうという気持ちになっているのかもしれません。
SNSのなかった頃、発信力は企業の資金力次第でした。テレビCMや新聞広告など広告費を莫大にかけられる企業は消費者にとって存在感が大きく、広告費の少ない中小企業は存在しないかのように見えました。
しかしSNSでの発信に広告費は必要ありませんし、大企業がいくら多額の投資をしたからといって投稿に魅力がなければ消費者がファンになることはありません。大企業と中小企業が平等に扱われるSNSでは、中小企業のほうに圧倒的なメリットがあります。
先に挙げた私が好きな園芸店や梅農家も個人でSNSを運用していますが、いずれもファンが多くオリジナル商品は人気がある様子です。
販売も採用も物件探しもSNSで
当店では、新入荷商品やセールなどのPRでSNSを活用することはもちろんですが、他にも様々な用途で活用しています。
例えば当店のネットショップでは商品写真をたくさん掲載し、動画を撮り、商品解説を書き、丁寧な販売を心がけていますが、1点ものの楽器はホームページに掲載する前にSNSに掲載してしまいます。興味あるお客様の目に止まれば、そのまま購入に進むことが多く、販売ページ作成の手間を省けるからです。
また新商品の開発に際してアンケートを取ったり、使用後の感想を聞いたりもします。
スタッフ採用もSNSで行っており、当店の4人目のスタッフはTwitterがきっかけになり採用に至りました。また東京の店舗も、Twitterで物件探しをしていることをつぶやいたことがきっかけでご紹介いただきました。このようにSNSはPRやお客様の交流に限らず広く活用をすることができます。
ハラスメント予防にも効果あり
SNSによって消費者と企業とが以前よりも近くなりました。SNS登場以前は、消費者が企業に対して不満がある場合、企業のお客様相談室に電話をかけたり手紙を送ったりすることでしか不満を伝えることはできませんでした。しかし現在では企業のSNSの投稿にコメントを付けたりDMを送ることができ、目的を達成させるのに1分もかかりません。
それの手軽さゆえに、消費者側はメッセージの受け取り手の立場を考えずに攻撃的で失礼なメッセージを送ってしまうことがあります。お客様の意見に丁寧に向き合うことは企業の業務の一つではありますが、あまりにストレスを感じると、担当職員の心身の健康を損なう恐れもあるでしょう。
企業が立派になればなるほど、たくさんの顧客に公平に誠実にサービスするために対応マニュアルができ、人間性が感じられなくなるものです。ハラスメント防止を呼びかける外国のCMで、「あなたが今、怒鳴っている職員も誰かにとっては大切な家族です」という趣旨のものがありました。消費者は企業の職員に対してそのような視点をつい忘れてしまうものです。
企業はSNSを通じて消費者と人間的な関係を築くことで、消費者からのハラスメントを予防することができます。当店では4人のスタッフそれぞれの個性を生かした投稿を心がけており、お客様にとってただの「店員」ではなく、友達や近所のお兄さんのように親しみを感じてもらえるようにと考えています。
SNSでは製品やサービスなどのPRだけでなく、スタッフの仕事風景や仕事への思いや趣味など多少プライベートなことも併せて発信すれば、消費者は企業に親しみを感じ攻撃的に不満を伝えることも少なくなるのではないでしょうか。
中小企業でもSNS担当者を配置する
SNSでは即時にコストをかけずに企業の思いを消費者に直接届けることができる反面、その手軽さゆえに使い方によってはうっかりSNSを「炎上」させてしまうケースもあります。良くも悪くも人柄がそのまま出るため、運用には一定の配慮が必要です。
企業での運用は今やブランドイメージに関わるほど重要であり、失敗は許されません。なるべく専門の担当者を配置すべきでしょう。中小企業にはそこまでのリソースを割くことはできないという声もあるかと思いますが、担当者は一日中SNSを監視する必要はなく、要点さえ押さえておけば兼業でも運用が可能です。
当店で4人目のスタッフとして採用した若い男性スタッフは、前職で企業のSNSを担当する会社に勤務していました。SNS運用を専門家に外注する需要に答えるために、SNS運用のスキルを養成したスタッフが複数の会社のSNSの「中の人」として活躍していたそうです。
当店では起業初期からSNSやYouTubeに可能性を見出していたため彼の能力を重視し、現在は楽器店の店長とSNS担当とを兼業してもらっています。
彼が担当する範囲は広く、SNSはブログ、Twitter、Facebook、Instagramを運用しています。一人で毎日ネタ出しをして更新するのは大変であるため、当社スタッフ全員がネタを提供し、それを彼が管理して投稿するように分業しています。また毎月獲得フォロワー数の目標設定をし、どの投稿が反応が良かったかという分析レポートも提出してもらっています。
彼の入社以降、すべてのSNSにおいてフォロワー数が増え、特にTwitterにおいては2年間でフォロワー数が2倍近くに達しました。その効果は、売り上げに如実に反映されていると実感しています。
中小企業だからこそSNSで個性を発信しよう!
今回は中小企業のSNS運用についての経験と実践をお話しました。スタッフが足りずSNSまで手が回らないよ! という声があるかと思いますが、そんな企業こそ少しずつでもSNSを初めてみてはいかがでしょうか。
一気にいくつものSNSサービスを始める必要はありません。すでにある社長のプライベート・アカウントを企業兼用として運用し、成長してきたら担当者をつけるという方法で良いかと思います。
まだSNSを活用していない中小企業は、ぜひ挑戦をしてみてください。