ひとり社長になりました! 法人登記の経験をシェア(前編)

こんにちは!ケルト音楽の楽器店を経営している、ケルトの笛のhataoです。
この連載は、私のようなスモールビジネスに興味のある方に、私に経験や考えをお伝えしています。

先日20219月某日、私の楽器店「ケルトの笛屋さん」は法人登記をし、創業10年目にして合同会社法人「ケルトの笛屋さん」となりました。これで私もついに「社長」です!

今月は、法人設立の動機、決算日や会社住所の決め方、準備書類、提出のこと、そしてちょっと笑えるオチまでお話します。これから起業を考えている方も、法人って何?という方も、ぜひお読みください。2回に分けてお伝えします。

法人登記で節税?


私は「ケルトの笛屋さん」を起業してから10年間、個人事業主として商売をし、フリーランスと同じく3月に確定申告をしてきました。法人登記は、起業と同時にする場合もあれば、私のように起業後にビジネスがある程度まで成長してからする場合もあります。

私は個人事業主として起業してから、ありがたいことに営業利益が年々増えた一方で、少しずつ税金や健康保険の負担が増えていました。法人化して節税する話は聞きかじっていたのですが、どういう理屈で節税ができるのかよく分かりませんでした。税理士からも「まだ法人化してもメリットはない」と聞かされ続け、タイミングがわからなくなっていました。

そんな今年3月、確定申告をすると所得税・住民税・健康保険の金額が過去最高という結果になりました。

私の場合はビジネスで得た売上からまた商品を仕入れたり店舗に投資するため、すべてが可処分所得というわけではありません。しかし会計上はすべてが課税所得とみなされていたため、自分が思っている以上に年収が上がってしまったのです。

また健康保険料の金額も私の自治体での最高額となっていました。健康保険料が家賃よりも高いという状況に、これはなんとかしなければ、と思ったのです。

そこで調べたところ、法人化して自分の財布と会社の財布とを分け、自分への給料を「役員報酬」という形で少なめに設定して毎月一定額を支払うことで、所得を低く抑え、所得から計算される各種税金や保険料も安くなるということが分かりました。

会社から私に役員報酬を支払った残りは、会社の課税収入となります。法人にも収入に応じて「法人税」や「法人住民税」がかかるのですが、日本は法人税の税率のほうが所得税よりも安いために、トータルでは法人を設立したほうが税金が安くなる(場合がある)そうです。自分の場合は、このスキームを使ったほうが、税金が安くなるらしいとわかりました。

登記手続きを誰かに依頼する?


法人設立にはさまざまな書類が必要となります。特に会社のきまりを書き記した「定款」は知識がなければ作成が難しいかもしれません。司法書士に依頼をすると、書類作成から提出まで代行してもらえて安心感がありますが、30万円程度の費用がかかるようです。行政書士は書類作成を代行できるものの、提出まではできないため、自分で提出が必要となります。とはいえ提出するだけならまったく難しくはないので、費用を安く仕上げたい方は行政書士に依頼すると良いかもしれません。行政書士に依頼する場合、5万円程度が相場のようです。

私は兄が行政書士の資格を持っているので、手数料を支払って書類作成を依頼しました。相談しながら必要事項を決めることができ、依頼をしてよかったと思っています。

合同会社か株式会社か?

会社には「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」4つの種類があります。この中で、「合名会社」「合資会社」は実際にはほとんどなく、一般的には「株式会社」か「合同会社」かで選択することになります。この違いについては専門外の私が述べるよりも、Googleで検索していただければ適切な記事を読むことができますので、省略します。

この中から私は「合同会社」を選択しました。登録時の費用と毎年の費用が株式会社よりも安いことに加え、私一人の社員で共同経営者や社員はなく、資金調達のために株式や債権を発行する見込みも無いからです。現在の私のスタイルにぴったりでした。

社員は?


法人、個人に関わらず、スタッフを雇用し労働時間などが一定条件を満たす場合には厚生年金、社会保険、雇用保険に加入させる義務があります。

私の場合は、3店舗にスタッフがそれぞれ1名おり、合計3名のスタッフと仕事をしています。私が個人事業主だった間は各自、自宅で任意の時間に働いていたり、週末のみ営業で労働時間が週15時間程度だったりするため、社会保険に加入する要件を満たしておらず、各自で国民健康保険や国民年金に加入していました。今後は法人になったこともあり、社会保険労務士と相談して適切に処理する必要があります。

決算月をいつにするか?

申請時に提出する定款の中では、会社の会計期間について定めなくてはいけません。個人事業主であれば1月から12月末までと決められていますが、法人は自由に設定ができます。また、法人設立をした初年度は消費税の納税が免除されます。私はこのメリットを最大限に活かして1年間まるまる免税対象にしたかったので、会計期日を9月1日から831日までとしました。決算書の提出は9月となります。

会社住所をどうする?

会社住所は必ずしも代表者印の住民票のある住所でなくても良いです。たとえば賃貸物件の事務所でも会社住所にすることができます。私は兵庫県に住民登録をしている借家を自宅兼事務所として利用していますが、和歌山県に別荘として購入した家があり、将来的には兵庫県の借家を引き払って和歌山県に引っ越す可能性が高く、その時に住所変更するのが手間になりそうなので、確実な和歌山県の方を会社住所としました。

資本金をどうする?


申請時に資本金を定めなくてはいけないのですが、会社法によると1円以上であればいくらでも良いということになっています。資本金の決め方については色々な記事がネットにありますので、興味のある方は調べてみてください。私の場合は100万円としました。

今日は、会社設立の最初に決めなくてはいけないことについてお話しました。次回は、揃える資料や提出方法についてお話します。どうぞお楽しみに!

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