日本各地の発酵食品 vol.2くさや、鮒ずし

こんにちは。
発酵文化研究所です。

今回ご紹介する日本の発酵食品は、
伊豆諸島で食される「くさや」と滋賀県の「鮒(ふな)ずし」です。

とてもクセがありますが、
それがまた、クセになる2種。
これを機に、ご興味をお持ちいただければ幸いです。


①くさや

あまり目にすることのない「くさや」ですが、
なんとも言えない独特な香りと旨味は発酵によるものから生まれます。
私が「くさや」を知ったのは小学生の頃。
テレビドラマの中で、
くさやを焼く臭いに隣人が苦情を言う設定(笑)

子供ながらに、そんなに?と半信半疑でしたが、
発酵の勉強を始めて、その臭いの強さを知り納得です。

そんな臭いの強い「くさや」ですが、
どのようなものかご存知でしょうか。

「くさや」は伊豆諸島という離島だからこそ生まれた保存食。

捕れた魚を、できるだけ長く保存したい、
そうして食料として確保すると共に、
美味しく食べたいという想いから工夫され、できたものです。

干物を作る工程と同じく、
魚を塩水に漬け込み干すというシンプルなものですが、
塩も水も貴重だった離島では、
漬け込む塩水に、
さらに塩を足しながら繰り返し使うという必然性がありました。

そうすることで、魚の成分が溶け込んだ塩水に微生物が発生し、
発酵を重ねることで、
独特な香りと旨味をもつ「くさや液」となったのです。

このとても貴重な「くさや液」は古いものほど良いとされ、
今も、大切に手入れをされながら使われているそうです。

糠床などと同じように、
年月を重ね旨味や栄養が増している「くさや液」
その価値を知り、大切につないでいきたいものです。


②鮒ずし

滋賀県の特産品でもある鮒ずし。
これは「なれずし」という、
魚を塩とご飯で発酵させたものの一つです。

琵琶湖で捕れたニゴロブナを塩漬けにし、
洗い、干し、ご飯と塩で漬ける。
とても年月と手間のかかる工程を繰り返し乳酸発酵を進めます。

鮒ずしの工程を知らずに食べた方は、
酢を使っていると思われると聞きますが、
乳酸菌による酸味であって、
酢や酸味料などは使われていないのです。

私は鮒ずしの身や卵の部分はもちろんですが、
漬け床になっている飯の部分も大好物。

キュウリの薄切りなど野菜と和えたり、
マヨネーズに少しプラスしてディップにしたり、
もちろん、そのまま少しずついただいたりと全てを楽しみます。

年月と手間、発酵により得られる栄養素を考えると、
一粒たりとも無駄にしたくない!!
よく言えば「もったいない精神」です(笑)

鮒ずしは、とても貴重な食材になりつつあります。
もし何かのきっかけで鮒ずしと出会えたなら、
それはとてもラッキーなことだと考え、大切にいただいてください。

腐敗しやすい魚を発酵の力で長期保存

いずれも腐敗しやすい魚を、
日本特有の発酵の力で長期保存可能にした日本の伝統食。

それは、貴重な食材を保存するために生まれましたが今では珍味。
とても贅沢で美味しい知恵となっているのです。

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