激動の2021年を乗り越えその先に見えたもの

激動の2021年も、残りわずかとなった。思い返せば、あっという間の1年であった。とにかく苦しみ抜いた1年間だったが、今回の挑戦が改めて自分自身に教えてくれたのは、苦しみが大きければその分実りも大きいということだ。更に遡ると、2020年から続くコロナ禍でもがき続けた2年間であったが、全ての難局を乗り越えてきたことに気づく。苦しい時、沢山の人たちが私の志を支え、応援してくれたからだ。本当に心より感謝を申し上げたい。

故郷新潟に戻り、周りの人からの反応を聞くと、その成果の大きさを実感する。やはり巨匠ロンカーターさんとのニューヨークカーネギーホールでの初共演は、奇跡だった。とてつもなく大きな事をやり遂げた充実感に、まだまだ浸っていたい気持ちも正直言えばあるのだが、新しく挑戦すべきことも同時に見えてきた。次の一歩を踏み出すための新しいスタートラインに今すでに立っている。

 

大切なひとときに飲む日本酒

そんな新しい始まりを見据えながら、今年を振り返る大切なひとときにふさわしい大吟醸酒、菊水酒造「節五郎 出品酒」を頂こう。数多くの酒蔵が威信をかけて出品する全国新酒鑑評会で、7年連続金賞を受賞した逸品である。

去年の菊水オンライン酒育セミナーでは、私も参加させていただき、節五郎の酒造りとその味を楽しんだ。

驚いたのは、この豊かで華やかな香りだ。そして、口に入れると丸みがあり、後味は深く余韻が残る。本来、日本酒は料理に寄り添うとか、料理を邪魔しないとかいう表現が使われるものだが、節五郎には料理(あて)がいらない、この酒の旨味だけを堪能したいと思わせる稀有な日本酒である。日本酒の花が咲いたと思うほど香りが華やかなので、その香りをより堪能できるワイングラスでも飲んでみてほしい。

節五郎は、菊水創業者である初代髙澤節五郎の名が冠されている。弱冠16歳で造り酒屋を志し、ただひたすら良い酒をつくりたいと敢然として酒造りに挑み続けた初代節五郎。私はこの逸話を耳にする度に刺激を受け、原点回帰させてくれる。菊水酒造140周年の節目となった今年の締めくくりに、この節五郎を味わえることに幸せと深い縁を感じている。

 

その先に見えるもの

2022年はどんな年になるのか、どんな困難が待っているのか、今からドキドキである。来年はこの日本にしっかりと演奏活動の軸を置き、コロナ禍で演奏を観に行けなかった皆様に楽しんでもらえるような機会を沢山作りたいと考えている。

そして個人的には、酒造りにもチャレンジしたい。2022年、史佳の酒造体験プロジェクトを立ち上げて、最終的には、史佳の限定オリジナル酒が完成したら面白い。以前クラシック音楽を酒蔵で流すというニュースが話題になったように、酒造りの工程で三味線の音色を聴かせたらどんな味わいになるのだろう。酒蔵で三味線を演奏するなんてイベントが開催できたら実に面白そうである。

常に試行錯誤をしながらも、冒険と遊び心を大事にしていた初代節五郎の心意気を継承する菊水酒造と共に、”新しい愉しみ”へ繋がる面白い企画を実現させたいと思う。どうぞ、お楽しみに。

2022年は寅年、史佳48歳の年男である。虎視眈々と次の目標を見据え、”虎に翼”の勢いで精進していきたい。

 

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