ミルメーク

学校の給食にミルメークがついてくることがあった。

おそらくミルクとメイクを合わせた造語(なんていうほどかっこいいものでもないけれど)で、牛乳に混ぜるとコーヒー牛乳(のようなもの)になる粉だった。

ミルメークが苦手という話をきいたことがないくらい、クラスの誰もがその砂糖と茶色い粉が混ざったものが好きだった。

牛乳瓶の蓋を開け、そのまま入れてしまうと粉が溢れてしまうので、一口飲んでから粉を入れ、直径3mmくらいのストローでかき混ぜる。

昨日、どういう話の流れからか忘れたけれど、ミルメークの話になった。正確にいえば、話になったと言うよりも、僕がミルメークってあったよね、といい、みんなが、知らない。と言った。

富士山の麓の高原は朝もやであたりは真っ白になる。数メートル先にあるはずの景色が全く見えなくなり、その向こうにあったはずのものを想像で補いながら前に進んでいく。

いろんなものが思い通りに見えない環境は、想像力がひろがり、別の場所に向かって思いを馳せるのを許してくれるようで、昔の小説家や、芸術家がそういった場所を求めていたのもそういうところなのかなぁ。

という文章を、車を停めて世田谷の道で書いていた。隣を通る手押車を引いたおばあちゃんが、「冷たいのあげる。はは。」と言って缶コーヒーをくれた。

まだ靄の中にいたんじゃないかという気持ちになった。

(追記※ミルメークはドンキホーテで買えるみたいです。)

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Shingo Kurono

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