きいろい本

手がアンパンマンのようになってしまったので、念のためと思って近所の皮膚科にいった。

待ち時間に、ここぞとばかりに読みかけだった文庫本よりも一回り大きい、黄色い本を持っていき、読んでいた。

隣にお母さんと座っていた5歳くらいの子が、

「なにそれ?なにみてるの?」と聞いてきた。

「これ?本だよ、おもしろいよ。」と僕は言い、

「ふーん。本かぁ。」といいかけた時に「あぁすみません。」とお母さん。

 

診察を受けて、薬局までの間にあるとんかつ屋で昼飯を食べ、とんかつが揚がるまでの間に同じ本を読んでいた。少し離れた隣の席のこどもたちが食い入るように僕の本を見つめていた。

黄色い本はみんな気になるんだなぁ。

 

Shingo Kurono

 

 

y

□ ANOTHER STORY

SHINGO KURONO

スズキリ

tomoaki-murano

ゆっけ