金沢に観光客徒歩ベルトが出来つつあります。
JR金沢駅と近江町市場、近江町市場と東山茶屋街との間は、いずれも徒歩で10分から15分程度の距離なので、観光客は歩いて移動し、かなり賑わっている街に見えます。十年以上前には人もまばらな通りでしたが、今ではどんどん歩く多くの観光客で、金沢駅-近江町市場-東山茶屋街は、徒歩ベルトになって来ました。
金沢の旧市街のコンパクトさが、この場合、奏功しているのですが、予想を越える数の観光客が訪れてはいるものの、市民住民が困ってしまうオーバーツーリズムという状態ではないようです。
観光客がこの街で落とすお金のことを考えると、金沢市民および行政は、今の状況を歓迎していますし、より積極的な観光施策を打ち出そうとしているほどです。
観光客が金沢に来た理由を金沢は掴んでない?
ところが、行政は、どれだけの人たちが金沢を訪れたのかというデータはその都度入手しているものの、観光客がなぜ金沢を訪れたのかの理由や動機を明確に把握していません。
観光客とじかに接する宿泊業や飲食業の人たちにヒアリングすると、おぼろげながら理由のいくつかが分かって来ますが、ある一定数以上のサンプル調査によるしっかりとしたデータは、今のところ行政を含めてこの街にはない、というのが実情です。
かりにサンプル調査を実施しようとした場合、来訪観光客の大まかなクラスター分けをする必要があるでしょう。それぞれ理由や動機が異なるからです。
金沢来訪の観光客は大きく4大クラスター
宿泊業に携わる人たちと話をすると、金沢を訪れる観光客は次のように4つのクラスターに分類できるようです。
・中高年中心の大人
・卒業旅行や休暇利用の学生・若者
・修学旅行
・インバウンド
それぞれに来訪理由や動機が違うので、各クラスター別にヒアリングやアンケートを実施して、データ化する必要があると思いますが、ここでは私の知っている範囲でおおまかな来訪理由を何回かに分けて書いて行きます。
まず修学旅行です。
修学旅行は石川県の観光部局が10年以上前から大手旅行代理店とともに取り組み、その努力が実って、昨年度は100校以上の中学高校がこの街を訪れました。今年も数多くの修学旅行が予定されていて、4月早くも市内には制服姿でグループを作って観光スポットを移動する中学生たちを見ます。
北陸新幹線金沢開業が契機となって、金沢を経由して京都・奈良へとスムーズに移動できる旅程が可能となり、主として東北や関東の中学高校の修学旅行の定番になりつつあるようです。
金沢市民は、修学旅行デストニーとしての金沢をよく理解しておらず、市内のあちこちで見かける制服姿の少年少女をただみやるだけですが、修学旅行の最大のデストニーである京都の経験を参照すると、彼ら少年たちは大人になって金沢を再訪する可能性は格段に高いのです。
未来の顧客を作れるかどうかは、市民の温かい対応にかかっていると思います。
他の3つの来訪クラスターについては、次回以降、書いて行きます。