人気実力のあるお店は予約が難しくなっています。
金沢の飲食業界では予約がなかなかできない店が少しずつ増えていて、地元客が以前のように予約が取れなくて困惑することも多くなりました。それらは、主に人気実力のある割烹や寿司店ですが、一部にはフレンチやスパニッシュのレストランも含まれます。
例えば、『ミシュラン北陸版』で唯一三ツ星に輝いた『料理小松』は訪れた客が次回の予約を入れれるのは1年後から、です。馴染みの客でないと電話での予約は無理と考えたほうがいいでしょう。
また、全国的にも知られる寿司店『弥助』は予約の仕方が決まっていて、その仕方を知らないと予約ができません。それにしても、数か月後の予約となります。
フレンチの『マキノンチ』やスパニッシュの『レスピラシオン』なども、数か月先まで予約で埋まっています。
いずれもお高い飲食店ですが、予約がなかなか取れないということがクチコミ的に知られ、そのことがよりいっそう予約困難になってしまうという事情でしょう。
金沢の外食は歴史的に見ると、料亭というものが江戸期よりあり、明治以降、慶弔祭事、会合、社交の舞台とて発展し、それに伴い加賀料理と言われる地産の食文化の担い手でもありました。ひがし茶屋街など花街の茶屋に弁当を納めていたのも、それら料亭です。
それら料亭から調理人たちが独立して割烹を経営し、中には寿司の職人もいて、寿司店も開業していきました。彼らを支えたのは企業や団体またそれらのトップたちです。金沢の食文化あるいは飲食市場は、もともと富裕層が求める内容と姿で形成され、それが土壌のようになって、こんにちの数々の実力・人気店の背骨を成しています。
その人気ぶりや実力のほどがSNSやグルメ雑誌で知れ渡り、そこに北陸新幹線の金沢開業があり、地元富裕層に首都圏のグルメたちが加わって、逸市湯のオーバーストア状況が生まれ、予約困難になったと推察できます。
そのような事情からか、地元の富裕層やグルメたちは、夏季に浅野川に特設される「川床」の席を奪うように押さえ、連日満員御礼となっています。
料亭の弁当に舌鼓をうち、芸妓たちの普段見れない踊りを見る特別な期間限定宴席は毎年人気で、金沢の夏の風物詩にもなっています。