今日は自身の仕事のことを書こうと思う。
「想い」先行になると思いますが、どうかお付き合いください。
私の仕事はフリーのウエディングプランナー。
フリーのプランナーになって仕事を始めてあっという間に7年が経ち、いま8年目を走っているところ。もともと結婚式業界には「ウエディングプランナーとしてフリーで働く」という文化はあまりなく、私がフリーという働き方を知ったのも今から7年前だったように思う。
私の運命を変えた本。
「フリープランナーの時代がやってくる」
まるで、ノストラダムスの予言かのような「やってくる」というタイトルにものすごく衝撃を受けた。表紙のまっすぐ見つめる花嫁さんの凛とした表情にも、どこか力強さを感じた。すぐに本を購入し、数時間で読み漁った。
すでにフリーとして活躍している方の記事がいくつか載っていて、その方々を私は遠い存在に感じながらも、もしかしたら私も歴史を変える一員になれるかもしれないとものすごくワクワクした。
欧米では、当たり前の文化である「ウエディングプランナー」を雇うという習慣。でも日本では会場に所属する方法が、その当時は当たり前の世界だった。
どういう働き方が存在するのか、あるいはどこに魅力を感じて新郎新婦が自分自身のところに辿り着いてくれるのか?まだまだ見つけなければいけない「答え」がいっぱいあると感じた。大きな目標を見つけた気がして、そこからがむしゃらに準備と努力を続けた。
そしてその雑誌を手にしてから半年後、私は「フリーのウエディングプランナー」になった。
フリーウエディングプランナーになって出会えたお客様は共同開発者。
フリーになってからはとにかく楽しくて仕方がなかった。辛い事も大変なことも数え切れないぐらいあったけれど、それ以上に幸せを感じる瞬間の方がはるかに多い。たくさんのお客様が、私に新しい可能性を教えてくれた。
私が作りたい結婚式は、枠や文化にとらわれず、ふたりと、そして家族や大切な人がやってよかったと思える結婚式。
「結婚式をやって、本当によかったですね!」と、新郎新婦と一緒になって喜び合える関係を築けることは、続けてきて一番うれしいことだ。
「こんなにやってよかったと思えるなんて、最初のころは全く思っていなかった」と言いながら謝辞で泣きじゃくる新郎さん。それをみて、ふふふと笑って嬉しそうな新婦さん。
ご両親が「こんなにいい結婚式にしていただいてありがとうございました」と深々頭を下げてくれること。
ゲストが、いい結婚式だったねーと言いながら新郎新婦にハイタッチしている瞬間。
その光景に心から満足している新郎新婦は、やり遂げた喜びいっぱいで、また明日からがんばろうという決意の表情に満ちていて、とてもとても、美しい。
プランナーとしては見ていて本当に幸せで、このふたりがずっと幸せでありますようにと願っては、こみ上げてくるものがあった。
ふたりがプランナーの在り方を考えるきっかけをくれて、喜びあって、一緒に乗り越えて。そしてふたりのこれからの幸せを願い、噛みしめられる時間が、とにかく幸せでうれしかった。
どういうプランを売りたい、とか
こういう商品を作りたい、とか
そういうことは1度も思ったことがなく(…というか、駆け出しの私は商品をどうしたらいいかわからなかったというところが本音なのだが。)
ひたすら、ひたすら想いを語って、結婚式へのビジョンを語ってそれに共感してくれたお客様が集まってくれて、今日まで走ってこれたと思う。
マーケティングの世界では「売りたいモノを誰に届けるか」が基本なのだと思うけれど、私はそういうやり方を知らなかった上に商品がなかったので、想い先行で走り続けてきてしまった。
出会ったお客様が、私の活かし方を教えてくれて、私に新しい働き方を提供してくれて、価値を世の中に一緒に広めてくれた。商品を一緒に作ってくれた。
これまで出会ったお客様は全員、「共同開発者」といってもおかしくない存在だと思っている。
新しい7年間。まだ見ぬ未来のお客様に出会うために
そして7年走ってきて8年目に突入した今。今まで出会ってきたたくさんの新郎新婦さんの応援を胸に、私は次のステージへ走り始めている。
次の目標が明確に「くっきり」見つかったからだ。
いままで出会った新郎新婦さんが教えてくれた、フリーウエディングプランナーの可能性。その可能性をより確かな「カタチ」にし、この事業を続け、愛されるためにどうしたらいいかを真剣に考えていこうと思っている。
立上げ期から、成長期を走ってきて、7年目。成熟期への突入。
ここから、本気の姿勢が試される。
今年の冬には、フリープランナーとして走ってきたこのココスタイルウエディングという事業を、大幅にリブランディングする。
どちらかというと、方向転換というよりも、これまで走ってきた7年間をもう一度丁寧に見つめ直し、それをカタチにし直して、新しい時代を作っていく人になりたいと思っている。
ここでもやっぱり、これまで培ってきた7年間をどう人に売るか?そのターゲットは誰なのか?を考えるような「あるものをどう売るか」という視点はなく、ビジョンを語りまくって成長させていきたい。
理想論かもしれないけれど、まだ見たことはないけれど、
「こんなことで困っている人が日本中のどこかにいるはず」「こうやって、婚礼業界の時代は変わっていくはず」「きっとこういう結婚式ならやりたい人が増えると思う」、そんな風に考えて、またこれまでと同じように想いを語っては仲間を募り、大きくしていこうと思う。
横を見ることもなく、後ろを見ることもなく、まだ見ぬ未来のお客様に出会うために。一緒に時代を切り開いて、良い意味で常識からのズレを楽しみクリエイティブに仕事をしていくつもり。そこに共感してくれる人がいてくれて、一緒に走っていけるならば。これ以上の喜びはないなぁと思う。これからが楽しみで仕方がない。
さて、次の7年間はどう過ごそうか。7年後私は41歳になる。きっと子供はもう一人いて、会社は5人~10人ぐらいのチームで、こんな世界を描けたら理想だなという世界が頭の中にたくさん浮かんでいる。やるべきことは明確なので、今日も一生懸命走ろうと思う。
出会ってくれたすべての人と経験と、苦労と喜びに感謝して。
thanks photo by ryoichi tanaka and footic minaco
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荒井さやか(http://www.ccsw.jp/)
1984年5月21日生まれ。北海道札幌市のフリーのウエディングプランナー。ふたりらしいオリジナルウエディングをプロデュースするCoco style WEDDING(ココスタイルウエディング)を運営している。結婚という人生の節目に行われる大切な通過儀礼「婚礼」をきっかけに、改めてふたりらしさを引き出しながら今後の人生に役立つ糧を提供することが 私のミッション。