祇園祭の起源と楽しみ方!山鉾巡行の意味って?

京都三大祭のひとつ、祇園祭

■平安時代から続く歴史あるお祭り

7月の京都は祇園祭一色。

祇園祭は平安時代から続く、京都でも歴史あるお祭りのひとつ。毎年国内外からたくさんの人が見物に訪れます。祇園祭といえば空高くそびえる山鉾(やまぼこ)が有名ですが、あの山鉾は何を意味しているか、ご存知でしょうか?

今回は山鉾の由来などを含む祇園祭の起源と、祇園祭をめいっぱい楽しむためのポイントをお伝えします!

昨年の巡行の様子

事の始まりは疫病の流行

祇園祭のはじまりは平安時代。

869年に全国的に疫病が流行した際、疫病封じのために神泉苑に66本の鉾を立てて祇園の神を迎えました。66というのは当時の国の数。諸国の厄を鉾に乗り移らせて祓う目的で鉾が用いられたんですね。当時は山車ではなく、文字通り巨大な矛を人が担いでいました。

それが室町時代にお稚児さんが乗る屋台と一体化し、海外との貿易が盛んになった桃山時代以降に装飾が少しずつ増えていきます。現存する山鉾・曳山は33基。5年前に大船鉾の完全復興がニュースになりましたね。

応仁の乱で一時途絶えますが、その後復興し今に至ります。

当初は牛頭天王(ごずてんのう)を祀っていたため、牛頭天王と習合したスサノヲノミコトを祭神とする八坂神社が中心となって行われるようになりました。

 

山鉾巡行の意味は?

祇園祭のハイライトと称される、山鉾巡行。前祭(さきまつり)は17日、後祭は24日に行われます。同じ日の夜には神輿渡御があり、実は山鉾巡行はお神輿が通る道を清めるための先祓いなんです。

17日の前祭で巡行する山鉾は23基、巡行は午前中に行われます。夜に八坂神社で神幸祭が行われ、神事ののち神様の霊を乗せた3基のお神輿が町中を練り歩いて御旅所(おたびしょ)へ向かいます。神様の霊が町々を巡ることで町を清め、御旅所で1週間人々とともに過ごします。これこそが祇園祭の本来の意味なのです。

1週間後の24日は御神霊が御旅所から八坂神社へ帰る還幸祭。この日は残る10基の山鉾の巡行があり、再び神輿渡御が行われます。

 

祇園祭見物の見どころ。ここを見るべし!

宵山より巡行・お神輿!

祇園祭見物というと、宵山期間に出掛ける人が多いかも知れません。巡行の3日前を宵々々山(よいよいよいやま)、2日前を宵々山、前日を宵山と呼び、街の中心部が歩行者天国となって出店がたくさん立ちます。各鉾町の山鉾を間近で見ることができ、なかには鉾に搭乗できたり呈茶や美術品の展示をする町内もあるので、ゆっくりと楽しむにはうってつけ。

しかし私がおすすめするのは、断然17日と24日です!
山鉾巡行は「動く美術館」と称される通り、意匠を凝らした美しい山鉾を見ることができます。巨大な山鉾が角を曲がる「辻回し」は迫力抜群。中間地点で行われるくじ改めは目の前で見られる行事のひとつで、鉾ごとに個性があり面白い。舞や楽器を披露する鉾もありつい全ての鉾を見たくなります。

山鉾巡行もぜひ見ていただきたいのですが、それより何よりおすすめしたいのは神輿渡御です。「ホイット、ホイット」の掛け声で練り歩くお神輿の熱気と言ったら!担ぎ手の男性たちの力強い足並みや肩に血を滲ませながらも真剣に担ぎ続ける様子は、つい引き込まれます。私は初めてお神輿を見た年から魅了され、毎年深夜まで追いかけています。

 

■お神輿を見るなら商店街がおすすめ!時間があればぜひ追いかけて。

寺町商店街で見るお神輿

夕方から深夜ちかくまでかけて行われる神輿渡御、初めての人はその道程の長さに驚かれるかも知れません。個人的にはなるべく近い距離でお神輿について追いかけることをおすすめしますが(というよりつい追いかけたくなるはず!)、一部だけ見たい人には商店街をおすすめします。

3基ある中御座(なかござ)・東御座(ひがしござ)・西御座(にしござ)と呼ばれ、それぞれルートが異なりますがアーケードのある商店街では寺町商店街と三条会商店街を経由します。

道幅に限りのある商店街では、一番近くでお神輿を見ることができるだけでなく、アーケードに鐶(かん)と呼ばれる飾りのシャンシャン鳴るのや担ぎ手さんたちの掛け声が反響して迫力満点。三条会商店街は還幸祭で通るのですが、八坂神社の境外末社である又旅社があり3基すべてが通るうえ中御座はここで神事を行うのでおすすめポイントです。

■もうひとつのおすすめは八坂神社

17日の神幸祭は出発時に八坂神社の石段下で差し上げ・差し回しが行われます。差し上げとは、神輿を頭上高く持ち上げること。差し回しはさらにそのまま回転します。重さ約2トンのお神輿が頭上まで掲げられる様子は一見の価値あり。

一方24日の還幸祭では、3基全てが八坂神社に帰り着いた最後がおすすめです。中央の舞殿の周りをぐるぐると廻り、舞殿に安置された後に御神霊を本殿にお戻しし神事が行われるのですが、この御神霊をお戻しする瞬間がなんとも神秘的なのです。

明かりを消した中、おそらく何百人という人がいるなか完全な沈黙が訪れます。この、真っ暗な沈黙の瞬間が得も言われぬ不思議な空気なんです。深夜の時間帯にはなりますが、時間が許す人にはぜひ体験していただきたいです。

四条河原町での差し上げの様子

最後は夏越祭で締めくくり

後祭後もいくつかの神事があり、7月31日の疫神社夏越祭が最後の行事になります。この日は八坂神社境内の疫神社に大茅の輪が設けられ、この茅の輪をくぐると厄を祓うことができるとされています。

1ヶ月間かけて行われる祇園祭はこの夏越祭をもって幕を閉じるのです。

 

たくさんの行事で成り立っている祇園祭。ここで紹介したものでもほんの一部です。

いつもよりも少し踏み込んで参加してみるだけでも、知らなかった歴史や宗教の一面が垣間見えるはず。そこに触れれば、京都の人々がいかに祇園祭を大切に守り受け継ぎ続けてきたかを感じていただけると思います。

京都人の暮らしにしみ込んだ祇園祭の伝統を、感じていただければ嬉しいです。

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