ホテルが生む新しいナイトカルチャー【ホテルとお酒 Vol.02】

こんばんは。HOTEL SHE, KYOTOの花岡です。

私がHOTEL SHE, KYOTOに入社したのはちょうど一年前、2019年の6月1日でした。

その前は東京の広告会社でWEBやアプリの制作ディレクターをしていて、デザイナーやエンジニア、アナリストの方々とチームを組み、デジタルを使った新しいユーザー体験を設計していました。

広告のお仕事もすごく刺激的で楽しかったのですが、人生経験として事業者サイドの仕事もしてみたい、またデジタルや紙などの媒体の制約を受けずに自由なクリエイティブ活動がしたいと考え、今の会社に転職しました。

もちろん元々ホテルは好きだったのですが、ホテルという空間やツーリズムの無限の可能性に魅了され、現在の仕事に就きました。

 

ホテルらしくないホテル

ホテル会社は観光大国である日本には星の数ほどありますが、HOTEL SHE,(他にも系列ホテルは4店舗ありますが)は既存のホテルの在り方に逆うような取り組みを数多くしており、当時の自分にはとても魅力的に映りました。

前回の記事でもお話した通り、京都のホテルであるにも関わらずテーマは7-80年代のアメリカ、スタッフはラフな服装で、なぜか客室へと続く廊下はネオン灯が照らしています。メンバーもホテル業界の出身者はほとんどおらず、デザイナーやエンジニア、以前まではミュージシャンが接客を担当していました。それゆえに業界の常識や、ホテルの当たり前といった既存の枠組みに捉われない運営をおこなっています。

 

ホテルの空間的可能性

これまでのホテルの提供価値は、ベッドやシャワーなどの最低限の滞在機能を満たす「インフラ性」と、ラグジュアリーな空間やホテルマンの高度な接客技術による「おもてなし」の二極化を極めてきました。

もちろん両者ともに、日本宿泊業界にとって世界屈指の強みであることは間違いありません。ですが、ホテルをメディア空間として捉えると、お客さまの占有時間も長く、プライベートスペースとパブリックスペースの共存する非常に可能性溢れる空間だと考えることもできます。

ですが、あらゆるホテル予約サイトを見てもわかる通り、国内の宿泊業界の評価指針は、インフラ的基準とおもてなし的基準に集約されています。これは業界自らが可能性を狭めているようで、非常にもったいなく思えるのです。

 

ホテルという概念をアップデートしたい

HOTEL SHE, ではホテルという空間をメディアとして捉え、様々なコンテンツ(=宿泊体験)の制作をおこなっています。

若者に中心に人気なを誇る詩人、最果タヒさんが生み出す言葉の宇宙に囲まれて一夜を過ごす『詩のホテル』

NYやロンドンで話題の新感覚演劇:イマーシブシアター の要素を取り入れた、ホテル一棟を舞台にした参加型サスペンス『泊まれる演劇』

一見ホテルとしては変化球のようにも思われるかもしれませんが、ホテルが提供するのはホスピタリティや寝室ではなく、広義で捉えると夜の楽しみ方、ナイトカルチャーのはずです。

日本は他の国に比べても(法的な規制もあり)ナイトカルチャーが少ないと感じます。もちろん繁華街にいけば居酒屋やナイトクラブ、カラオケなんかもありますが、ずっと固定席や個室にいないといけないものが多く、限られた年齢や性別以外の人には結構ハードなものに思えます。

一方アジア屈指の観光都市であるシンガポールは、ナイトサファリという夜をテーマにした動物園が人気で、マリーナ・ベイサンズでは夜通しカジノやエンタメショーが楽しむことができます。家族連れに人気の植物園は深夜2時まで営業していたりします。

 

ホテルが発信するナイトカルチャー

残念ながら日本は観光大国であるにも関わらず、その観光資源は日中のみ楽しめるものが大半を占め、特に地方都市の夜はホテルに帰って眠るしかありません。

ですがよくよく考えると、ホテルは終電やタクシーを気にせずに、時間の概念を超越してコンテンツを提供できる唯一の箱だと考えることができます。観光の余白を埋めるだけではなく、新しい体験をホテルから発信することができれば、ホテルという概念がアップデートされるように思えるのです。

□ ANOTHER STORY

SHINGO KURONO

SHINGO KURONO

mimom

SHINGO KURONO