mimom

1990年福島県生まれ。 2012年多摩美術大学プロダクトデザイン専攻修了。 デザイン事務所に所属し、ロゴ・広告・パッケージなどグラフィックデザインを手がける傍、3Dソフトを使い、デフォルメした日常風景や架空の世界を描くデザイナーとして活動。 HP:mimomweb.com twitter:@m_mimom

3Dアニメーションにクラフト感を演出するには?


3Dアニメーションというと、滑らかな解像度の高い動きが連続して流れるように繋がっていくものが多い印象ですが、私は反対にカクカクして解像度が荒く、手作業で動きを制御しているような、クラフト感のあるアニメーションに惹かれます。

 

クラフト感はどう出せるのか

3Dアニメーションにクラフト感を出すにはどういった方法があるのか。動き、マテリアル、環境(ライティング)の3項目で事例を挙げてみます。

 

1. 動きをつける物体の素材を考える

動きという点ではコマ撮りアニメがイメージに近いのですが、コマ撮りアニメはキャラクターをはじめとするモチーフが<何の素材で出来ているか>によって、動きに違いが出てきます。

例えば、ミッフィー*とピングーのコマ撮りアニメーション。
ミッフィーの人形は手足が固い素材で出来ているので、手足を軸に沿って上下左右に回転させることで歩いたり手を挙げたりなどの動きをつけています。つまり動きをつける物体自体の形状は変形しません。一方ピングーの人形は粘土で出来ているので、動作や感情によって顔の形が潰れたりクチバシが伸びたりと、物体自体を変形させることで動きをつけています。
*ミッフィーのアニメーションは現在は3DCG

動きをつけること前提で3Dを造形するときには、つけたい動きに合わせて素材を設定したり、逆に何の素材で出来ている想定かを踏まえて動きを考ると、3D上のモチーフが物体として現実世界に立ち上がってくるように思います。

 

2. 実写マテリアルを組み込む


SFSFSF by SUPERFICTION

パイプの煙だけ実写映像が当てこまれているのですが、これが効いていて、絵はデフォルメされているのに一気に生命感が出ます。煙がユラユラとゆっくり上昇する表情からは場の空気も想像でき、描写が省略された部屋/空間・デフォルメされた人物のほぼ変化のない表情、という少ない情報を補う役割も担っています。モチーフの質感や造形がフォトリアルでなくとも、部分的に実写マテリアルを組み込むことで、存在しているかのように見せることが出来るという面白い例です。

 

3. 環境の変化・時間による変化を取り入れる


imai / Fly feat.79,中村佳穂
Direction/Animation: 橋本麦

数日かけて同じ場所でコマ撮りした絵を繋げているそうですが、動画を見ると、朝から始まって昼になり夜になり、また朝が来る…と時間経過に沿って環境光の変化があるのがわかります。これはまさに3Dのデータにはない実写ならではの表情で、膨大な手作業の跡を感じます。

実際にコマ撮りアニメーションを作ると、モチーフの角度が直前のコマから微妙にズレたり、照明がちょっとズレたりするのだろうな、ということは想像できます。そういった手作業ならではのエラー要素や環境光の変化は、やはり実体験で得る感覚で勘所が見えてきそうなので、実際にコマ撮りをしてみることから始めなくては、と感じています。よし・・・!

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mimom/デザイナー

1990年福島県生まれ。
2012年多摩美術大学プロダクトデザイン専攻修了。
デザイン事務所に所属し、ロゴ・広告・パッケージなどグラフィックデザインを手がける傍、
3Dソフトを使い、デフォルメした日常風景や架空の世界を描くデザイナーとして活動。

HP:mimomweb.com
twitter:@m_mimom

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