少人数の組織を保つためのケジメについて

こんにちは!

ケルトの笛奏者で、ケルト音楽専門楽器店「ケルトの笛屋さん」を経営しているhataoです。この連載では、スモールビジネスを営む私が、起業やビジネスについて、アイデアと経験をシェアしています。

ちょっと前のことですが、スタッフが想定外のミスをやらかしてしまい、会社化して早々に懲戒処分をしたという事件がありました。痛い経験でしたが半年ほど経ってほとぼりが冷めたので、書いてみたいと思います。

営業日にお店を無断休業

その事件というのは、弊社の営業日にスタッフの不注意でお店を無断休業してしまった、という出来事でした。弊社の営業日は週末と祝日なのですが、店舗を預かる店長がその日が祝日であることを忘れて休日のように過ごしてしまい、夕方になって他の店舗から営業報告が届いて、営業日だったことが発覚したという次第です。

もし複数の店員で回すお店であれば、他のスタッフが気づいて電話をかけてくるのでしょうが、弊社は2店舗いずれも店長一人で管理しているので、営業終了時間まで他の誰もが気が付きませんでした。私としても普段は店長に任せきりなので、青天の霹靂。まさか店長が営業日をすっぽかすというのは想定外でした。

不祥事の対応を誤ると、さらに事態が悪化する


不測の事態が起きた場合、すぐに関係各所に連絡をする、場合によっては謝罪や弁償などしかるべき対応をするというのが鉄則です。店長がまっさきに考えたのは、営業日のつもりで来店したお客様のことです。特に祝日や連休は遠方からのお客様もいらっしゃるため、ご足労いただいたのに臨時休業ではがっかりさせてしまいますし、「あのお店は開いているのかどうか分からない」という評判が立ってはいけません。
とはいえ誰がいらっしゃったのか、特定しようがありません。

そこで店長はSNSに謝罪文を掲載したいと私に申し出ました。しかし謝罪文を掲載することで、本件とは無関係なお客様や弊社のことをまだ知らない人にまで不祥事が知れてしまう恐れがあります。それによって弊社のイメージダウンにつながることが、彼には見えていませんでした。アクシデントが発生したとき、対応を誤ると事態をさらに悪化させてしまいます。

そこで何らかのアクションを取る前に、まず「誰に影響を与えたのか」を考えました。来店したかもしれないお客様はもちろんですが、物件を借りている貸主にも迷惑をかけているかもしれません。そこで、まずは貸主のほうにクレームが来ていないかを確認しました。すると、差し当たりクレームは来ていないとのことでした。そこで貸主にはお詫びをした上で、今後ご来店したお客様の中で臨時休業によってご迷惑をかけた方がいれば直接謝罪するという方針を取りました。

初めての懲戒処分に頭を悩ませる


自分の担当の店舗の営業日を忘れて営業をすっぽかすなどというのは、言うまでもなく、あってはならないことです。その「あってもならないこと」が起きてしまいました。関係各所へ対応をすることはもちろんですが、その責任は本人にしっかりと自覚してもらわなくてはいけません。

弊社は水平的な組織で、私が社長(代表社員)ではありますが、実際は4名のスタッフに序列はなく、それぞれの貢献度合いや責任の度合いによって報酬を決めています。そのため、私は不祥事を起こしたスタッフに対して叱り飛ばすような立場ではありません。ただただ彼を頼りなく、不甲斐なく思いました…。

彼を叱っても仕方がなく、それよりも今後このような不祥事が二度と起きないように、この機会にしっかりと処分をしなくてはいけません。それは真面目に働いてくれている他のスタッフのためでもあります。

私は労務についてはまったく無知なので、処罰についてインターネットで調べました。ドラマなどでは不祥事を起こした社員をその場でクビにするとか減給にするという演出がありますが、実際には労使ともに合意がなくてはその処分は無効となります。社長の権限で社員が理不尽な処分に合わないようにするためです。そこで、当月分に限り彼が欠勤した日分を減給(10%)にすると定めました。それなら、彼はその時間分の給与を受け取れないだけなので納得してもらえるはずです。処分としては軽いのかもしれませんが、痛みは感じてもらえるでしょう。これは、「懲戒通知書」に記しました。
そのほかに「始末書」を提出させて、不祥事の内容、原因、今後の対策について書面で回答してもらい、また次回に同じ行為があれば懲戒解雇にするという「警告書」を手渡しました。

気が重いのですが、この事件の2日後に私とともに起業した別のスタッフと彼との3名で会議の場を持ち、まずは事情を聞いた上で、それらの書類を読み上げて署名をしてもらい、手渡しました。重たい時間でしたが、深刻に捉えてもらえたかと思います。

組織を保つためには自己管理能力が必要

人数の少ない組織、年齢の近い友達のように仲の良い組織、趣味的なサークルのような組織ではお互いに対して甘くなりがちです。小さなミス、怠慢、不祥事でも自分達を守るために対応をいい加減に済ませると、どんどん組織は堕落していってしまいます。それは周りに迷惑をかけてしまうだけでなく、組織自体の継続も困難になっていきます。
今回は初めての不祥事でしたが、しっかりとケジメをしけていくことが組織の継続に必要なことだと感じました。

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