どの季節も「初物」の特別感には心躍るのですが、4~5月が旬の「初鰹」もそのひとつ。
晩夏には「戻り鰹」も登場し、年2回の旬がある鰹ですが、どちらにも律義に胸が高鳴るほど好きな食材です。
脂が少なめでさっぱりしている初鰹を使い、おつまみ前菜2品を作ってみました。
■初鰹のコチュジャンタルタル
・材料(2人分)
初鰹(生) 140g
茗荷 1~2本(30g)
黒酢 10g
コチュジャン 4g
胡麻油 6g
海苔(全形) 2枚
◀Let’s cook!
①黒酢とコチュジャン、ごま油を混ぜる。
*コチュジャンによって甘さが違うので、必要であれば砂糖を少々加える
②鰹を1㎝角に、茗荷は薄い輪切りに切る。
③茗荷はトッピング用に少し取っておき、残りと鰹、ソースを和える。
④器に盛ってトッピングの茗荷を乗せ、1/4に切った全形海苔に巻きながらいただきます。
*実は、江戸時代には初鰹を辛子で食べるのが一般的だったとか。
コチュジャンの辛味も、強めの鰹の風味に意外に合います。
■初鰹のバルサミコカルパッチョ
初鰹(生) 140g
バルサミコ酢 15g
醬油 5g
みりん 6g
ケッパー(酢漬け) 12粒(3g)
赤玉ねぎ 1/8個(20g)
塩 適量
◀Let’s cook!
①バルサミコ酢と醬油、みりんを混ぜる。
赤玉ねぎを薄いくし切りにする。
②油少々を引き、強火であたためたフライパンで、鰹の長辺の表面をすべて焼きつける。
③焼いた鰹を7㎜くらいの薄切りにし、①で混ぜておいたタレに入れてやさしく混ぜる。
そのままラップをして、冷蔵庫で30分冷やす。
④鰹を器に盛って全体に塩を振り、ケッパーと赤玉ねぎを散らす。
*解凍の鰹のたたきでも作れますが、生鰹が手に入りやすい時期なら、自分でたたきにするのがおすすめ。
冷凍ものとは違う、身のなめらかさや味の濃さを楽しめます。
血の気を感じる食材の調味ポイント
今回の2点のレシピの特徴は、「鰹の血の気に、鉄っぽさを合わせる」ということ。
鰹以外でも、鮪や牛肉など、赤身の食材には「血の気」が感じられるものが多いのですが、
そこにリンクさせるように、鉄っぽさを特徴に持つバルサミコ酢や黒酢を用いています。
それだけだと「強い(血の気)×強い(鉄っぽさ)」という組み合わせのみでおいしさを感じにくいため、
「甘み(コチュジャン、みりん)」を加えて、旨みっぽさを補完しているイメージです。
また、「血の気」は「臭み」をイメージさせやすいため、バルサミコ酢と黒酢の「酸味」部分で中和させています。
他の食材を使って、なにか作ろうかなと思う時に、この「リンク」や「補完」、「中和」を考えてみると、「この組み合わせでおいしいものができるかも」というひらめきにつながるかも知れません。
「簡単・時短・気楽」といった、最近の人気レシピの時流に合わない「自らレシピを発想してみよう」というお手間なご提案だわね、と思いつつ、皆さんの「名もなき料理」が生まれるヒントになったらいいな、と思っております。