「軽キャンピングカー」の真実をぶっちゃけます①

いつもはビジネス系の堅いお話しばかりしているこの連載。8月〜9月は気候も良く行楽シーズンですから、私もすこし緩みたいです。そこで8月はキャンピングカーについて、9月は別荘を持つことについてお話ししてみます。どちらもお金持ちの趣味のように思われていますが、実際はそうでもないのですよ。そんな費用面も含めてぶっちゃけてみます。

軽キャンの魅力

キャンピングカーにはさまざまなタイプがありますが、私のはその中で最も小型で最も価格が安い「軽キャン」と呼ばれる分類のものです。「軽キャン」とは軽自動車を改造したキャンピングカーの略称で、いくつかの会社が様々なデザインで販売しています。
私の所有しているキャンピングカー「テントむし」は、鹿児島のガレージ「バンショップみかみ」が製作しているフルオーダーメイドの軽キャンです。この車のベースはダイハツのハイゼットトラックで、農家や現場職が愛用している軽トラの荷台部分を居住空間に改造しています。

私が軽キャンを選んだ理由は、なんと言っても費用面で現実的だったからです。キャンピングカーには車体価格が1,000万円を超えるものも珍しくはありません。シャワー、トイレ、キッチン、家と変わらない居住性など、上を見ると天井がないようなキャンピングカーの世界ですが、近年新たなジャンルとして登場した軽キャンは400万円程度から購入することが可能です。軽キャンは分類上は「軽自動車」になりますので、自動車税や高速料金、車検費用が安く、燃費が比較的良いとされています。またガソリン高のこの時代には助かります。


また、大型のキャンピングカーの場合は車のサイズから駐車場選びが制限されたり、買い物などの街乗りでは目立ったりしてしまうため、普段使いの乗用車とキャンピングカーの2台持ちをする場合が多いようですが、軽キャンは軽トラサイズの幅・長さで車高も2m以下なので(テントむしの場合)、街のコインパーキングや立体駐車場に停めることもできます。細い道や山道も小回りを効かせて運転することができます。

ここだけの話ですが、カーテンを閉めてしまえば外からは人がいることがわからないので、都心の駐車場で車中泊をすることもできます。庶民がキャンピングカーを買う場合は、軽キャンはかなり有力な選択肢になるでしょう。

キャンピングカーでやりたかったことと、「テントむし」を選んだ理由

私はテントむしが初めてのマイカーになりましたが、最初からクルマを購入するなら普通乗用車ではなくキャンピングカーが良いと決めていました。旅行が好きなのはもちろんですが、楽器店を営んでいるので商品がたくさん積める車であること、また楽器演奏家でもあるので演奏旅行で各地に行く際に車中泊で宿泊費を節約できることが魅力でした。キャンピングカーで日本各地に出かけて出張楽器店をしたり、車内で楽器レッスンをしたり、車の電源とサイドオーニング(車から横に広げるタープ)を利用して野外ミニライブがしたいと夢をふくらませていました。

軽キャンには色々なデザインのものがありますが、比較した結果テントむしを選んだのは、内部のデザインが私の利用目的に合致していたことと、後部に大型ハッチをオーダーメイドできることでした。内部のデザインについては、対面シートにして中で向かい合って楽器のレッスンをしたり、シートをたたんで大型商品を積むスペースにしたりとレイアウトの自由度が高いです。また、大きな商品や楽器などの積み下ろしのためには大型ハッチは必須で、これは他社にはないオプションでしたが本当に付けてよかったと思っています。

テントむし、さらに詳しく

軽トラをベースにしたキャンピングカーには、「荷台にキャビンを載せるタイプ」と、「荷台を取り払ってキャビンを造作するタイプ」との2つがあります。載せるタイプのメリットは、すでに軽トラを持っている人はキャビンだけを買えば良く費用面が安く抑えられることや、通常時は軽トラとして仕事に使い旅行時のみキャビンを乗せることで使い分けができることですが、デメリットは運転席と助手席の2人までしか乗ることができないことです。走行中にキャビンに乗ることは法律上禁止されています。その点、テントむしは軽乗用車と同じく4人まで乗ることができます。

テントむしの装備は、ミニシンクと小さな冷蔵・冷凍庫のギャレー(キッチン)、ポップアップテント(天井を持ち上げて2段ベッドになる)、取り外し可能なテーブル、100V電源が利用可能なサブバッテリーです。バッテリーは家電製品の使用に対応していますがあまり容量がないため、家庭用電子レンジや電気ポット、ドライヤー、IHヒーターなど高出力の家電製品は使えません。パソコン関連機器や扇風機などの利用を想定しています。

オプションも豊富で、低電圧の車載レンジ、テレビ、エアコン、ソーラーパネルなど様々な機能を追加することができます。価格や製品紹介について詳しくはこちら公式ページをご参考ください。

https://www.vs-mikami.com

購入2年経過後も大満足

最近は団塊世代の大量退職にともなう定年後の趣味としての需要、またコロナ禍によるアウトドアの需要からキャンピングカーが大人気となっています。テントむしは小さな鹿児島のガレージ1社だけで製造しており、私のときで1年半待ち、現在では2年程度になるのではないかと思われます。

私のテントむしが納車されたのは2021年の9月、それからもうすぐで2年になりますが、たった2年で走行距離は4万キロを超えました。多くは兵庫県―和歌山県の二拠点間の移動と、東京の店舗への往復の移動で、あとは九州や四国、信州や関東への演奏旅行。当初の目的だった出張楽器店の旅行はまだしていないのですが、かなりハードに乗っているほうだと思います。

2年経ち私としては心から満足しています。デザインや機能面が気に入っていますし、何より移動の自由度が高いことは、普通の乗用車には得られない利点です。例えば500kmくらいの遠出の旅行をする時など前日の夜更けに出発して2時間くらい運転して途中で宿泊し、翌日午前中に残りの距離を運転することで疲れずに効率よく移動ができますし、数日のドライブの場合は目的地を決めずに気分次第で車中泊しながら旅ができるので、ホテルを予約したり事前準備をする必要がありません。自由な旅行を愛する人にはぜひお勧めしたいと思います。

次回は、テントむしの良かったこと、物足りないことを正直に書いてみようと思います。

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