美術館の展示室でテルミンを弾くという、初めての体験をしてしまいました!
DIC川村記念美術館
今回の企画で初めて訪れた、千葉県佐倉市のDIC川村記念美術館。
準備と本番で計4回行きましたが、すごくステキなところです。また違う季節に行ってみたい!
© The Josef and Anni Albers Foundation
写真・野中麻実子
現在開催中の企画展「ジョセフ・アルバースの授業 ~色と素材の実験室~」の関連イベントとしてのコンサート。
題して、「サウンドミュージアム・オブ・テルミン」が10月14日に無事行われました。
企画担当の方、美術館のみなさま、ご尽力ありがとうございました!ご来場のみなさま、ありがとうございました。
終わって1週間経って、記録写真などお送りいただいたので、ちょっと振り返ってみたいと思います。
緊張の60分
すごく緊張したんです。
ライブももちろんですが、今回最も緊張したのは、開演までの準備だったのです。
これまでも、何度かミュージアムコンサートはされていたそうですが、今回は楽器の演奏だけでなく、企画展に絡めたお芝居やら新曲やらいろいろ詰め込んだ約2時間のステージ。美術館閉館から1時間後の開演時間までに多くの準備がありました。
高所作業車で天井の照明の向きを変え、舞台を組み立て、客席を並べ、音響、照明を搬入し、回線チェック、撮影用カメラのセッティング、などなど。
膨大な作業を1時間で終えるために、閉館後の展示室に一斉に機材と数十名のスタッフがなだれ込む様子は、阿波踊りさながらの高揚感がありました。
そして60分後、スタッフの皆さんのおかげで、無事開演することができました!
ジョセフ・アルバースってどんな人?
今回のライブのために、展示を見て、展示の図録を読んで、アルバースについて勉強しました。これまで名前を聞いたことはなかったのですが、各方面に影響を与えた人物だということがわかりました。
「展示の図録」と聞いてイメージするものとはかなりかけ離れた、文字びっしりの分厚い本。
この図録の大部分を執筆された学芸員の亀山さんにもご出演いただきました。今回は、「学芸員」というお仕事がどういうものなのか、美術館の人はどんなお仕事をされているのかということを間近に見られたのも貴重な体験でした。
同じ作品でも、学芸員さんがどんな切り口でどう展示にするかで、きっと違った見え方をするだろうなと思いました。
会場の作り方、空間へのこだわり、貴重な作品の危機管理のことなども担当の方から直接伺うことが出来ました。
貴重な作品を危険に晒すことのないよう、ルールが徹底されています。展示室では、ボールペン、サインペンなどの使用が禁止なのです。万が一にでもペンのインクなどが付着するようなことが無いようにです。一般人には想像が及ばないレベルで、作品が守られているのを初めて知りました。
こちらの方が亀山さん。この動画で、アルバースがどんなことを授業で教えていたのか、体感できます。
私たちがライブをさせていただいた展示室は来館者が作ったこの作品であふれていました。
ジョセフ・アルバースは音楽にも造詣が深く、なんと、ジョン・ケージとも関わりがあったのだそうです!
ジョセフ・アルバースは、自身が教えていた大学「ブラックマウンテン・カレッジ」の夏期講座を作曲家ジョン・ケージに依頼します。ジョン・ケージといえば現代音楽の代名詞のような存在ですが、初期の頃から電子楽器の可能性に着目していたそうです。同時代に、それぞれの分野で新しい芸術形態を開発した3人は、後世にも大きな影響を与え続けています。
家具調テルミン
そして、以前こちらの記事でも紹介した、家具職人・須藤イクルさんによる、オリジナル筐体テルミン、ついにこの日ライブで初お披露目でした。
電子楽器は、バイオリンなどと違って、この木の箱に共鳴したりはしないんですが、視覚的に木の美しさ、温かみがあると、音も違うような気がしてきませんか?(実際は違いません。笑)
須藤さん、ありがとうございました!