山笑海笑

神奈川県西部在住。丹沢や大磯丘陵を歩いて、風景を楽しみ動植物を愛でるのが好きです。週末は郊外に出て山野を歩き回っています。令和5年は転勤で名古屋周辺を楽しんでおりましたが、1年で帰ってまいりました( ̄О ̄)ゞ

白山登拝記【後編】

百花繚乱の山上台地へ

白山の東側、岐阜県飛騨地方からのアクセスルート平瀬道の上段。標高を上げるにつれて樹林は疎らになります。その一方で斜面には色とりどりの高山植物が花を咲かせてお花畑の様相です♬

急斜面を九十九折りに上がりますが、時折尾根上に出ると南側の斜面が切れ落ちたがれ地の通過になります。がれ地にも健気に咲く花はございます。足元に注意しつつ楽しみましょう。

雲間に見え隠れする剣ヶ峰。その直下にある大カンクラ雪渓(白い恋人♡)を横目に見ながら沢沿いを登っていくうちに「賽の河原」と呼ばれる山上台地に到達しました。ここから白山神社の拝殿とビジターセンターのある室堂までは、ほぼ水平の移動になります。

賽の河原はハイマツ帯とお花畑が広がっていますが、平瀬道の上段とはまた違った種を楽しめます。その最たるものがクロユリです。早速ニオイを嗅いでみましょう…臭っさ!!

クロユリは恋の花

愛する人に捧げれば

二人はいつかは結びつく

ああ~あああああ~ああ~あああああ~

この花ニシパにあげよかな

あたしはニシパが大好きさ…♪

白山にはかつてライチョウが生息したそうですが、昭和20年代には絶滅し、その後飛騨山脈からの飛来した個体がチラホラ目撃されたそうです。環境の変化が個体数減少の原因と考えられますが、アルプスなどと違って生息環境が狭く孤立した白山は、一度減少すると回復は難しいのでしょう。八ヶ岳などもそうらしいです。カムバック!サーモン…ライチョウです。

高山鳥はライチョウだけではありません。イワヒバリ、カヤクグリ、ホシガラス、ルリビタキなどの姿を見かけました。これらの野鳥たちはハイマツの中から顔を出したかと思ったらバイケイソウの葉の上に乗ったりして、実に愛らしい姿を見せてくれました。

カヤクグリ

ホシガラス

白山登山の拠点室堂

室堂のビジターセンターに到着すると多くのハイカーで賑わっていました。それもそのはず。室堂は白山のメインルートである石川県側のルートが出合う場所であって、更に山頂部唯一の宿泊施設である室堂山荘が併設されている白山登山の拠点なのです。ちなみに霊峰白山は神域であり、火山活動も継続しているため、山頂部の宿泊施設は室堂山荘のみですが、数百人を収容するキャパがあります。私も泊まりたかったのですが…満室でしたorz

ビジターセンターの向かいには、白山神社奥宮遥拝所があり、遥拝所の裏手から白山の最高所御前峰に通じる登拝道が延びています。まっすぐ山頂へ延びる道は、天に昇っていく滑走路のようでした。

室堂周辺は高天原といわれる草原で、ちょうど高山植物が百花繚乱のお花畑になっていました。幸せをもたらすと言われてる。どこかでひっそり咲いている。花を探して、花を探しています♬

お花畑の中にビンズイがいました。ビンズイはヒバリの仲間で丹沢など低山でもおなじみの野鳥ですが、こんなに高い場所でお目にかかるのは初めてでした。

白山山頂部を逍遥

御前峰に立つ御前峰への登山道は多くのハイカーが上り下りしていました。その人の流れに交じっているうちに白山の最高所御前峰(2702m)に到達しました。

山頂に鎮座する小さなお社が白山神社奥宮です。全国に3千近くもあると言われる白山神社の総社になります。白山信仰の歴史は古く、元々は白く輝く山の姿をご神体とする原始的な信仰から始まったそうです。紀元前崇神天皇の御代に初めて菊理媛尊(ククリヒメノミコト、白山比咩神)を祀った白山神社が創建され、それ以降2千年の信仰の歴史があります。その後、奈良時代には泰澄大師が白山を開山し、霊山として加賀、美濃、越前の各国から禅定道と呼ばれる修験道が整備されました。

ちなみに白山神社の祭神菊理媛尊は、日本人の原点といわれる神話上の神、伊弉冉尊(イザナミノミコト)と伊弉諾尊(イザナギノミコト)の夫婦が仲違いした際、仲直りさせたといわれ、縁結びの神様として信仰されています。なんて言っているうちに雲行きが怪しくなってきましたよ。ワタクシにはご縁が無いようです(笑)次行ってみよー!

御前峰の北側には、かつての噴火口だった火口湖群が存在しています。ほのかな硫黄臭の中、お池めぐりを楽しみました。白山は死火山ではありません。ドカン!といったら、ハイ!それまでよ(笑)これらの火口湖は、硫黄分の影響で、晴れていればエメラルドブルーの美しい水面を見せてくれるのでしょうけど…

剣ヶ峰と紺屋ヶ池

火口湖最大の翠ヶ池

畔にイタドリが咲く血の池

お池巡りから御前峰の西側山腹を巻いて室堂に戻ると、折から入道雲が湧きあがり雷鳴が轟いてきました。ここに泊めてください!と満室の室堂山荘に掛け合っても詮の無いこと。雷鳴に怯えながら平瀬道を足早にワープしました。結局夕立に降られることはなかったんですけどね(笑)

下山後、登山口にある大白川露天風呂に入浴して汗を流しました。この温泉は白川村の平瀬温泉にも引湯されているそうです。白水湖の畔にある水道も洗い場もない露天風呂ですが、エメラルドブルーの湖畔を眺めながらいつまでも浸かっていられるぬる湯が疲れを癒してくれました。

山上台地で出会ったお花たち

(左上から右下へ)エゾシオガマ、ミヤマキンポウゲ、テガタチドリ、イワオウギ

マルバダケブキ、イブキトラノオ、ヒメギス(虫)、アキノキリンソウ

ハクサンフウロ、ニッコウキスゲ、キヌガサソウ、ナナカマドの紅葉

タカネマツムシソウ、ヨツバシオガマ、ナナカマドの花、タカネナデシコ

ハクサンフウロ(群生)、イワカガミ、チングルマ(綿毛)、イタドリ

イワツメクサ、イワギキョウ、チングルマ(花)、ハクサンコザクラ

タテヤマリンドウ、ミヤマカラマツ、コバイケイソウ、クロユリ

今回もご笑覧いただきまして、ありがとうございました。